専門用語集

アウトブリード
異系交配、異系繁殖のこと。サラブレッドの生産は近親交配(インブリード)をもとに作られてきたが、比較的血縁関係の遠いもの薄いものをアウトブリードと言っている。とはいえアウトブリードかインブリードかは程度の問題であって、どこを境にアウトブリードと決めるのか、明確かつ共通の定義はない。5代前までを表記した血統表が主流である現在、5代前まで遡っても父と母に共通の馬が現れないものをアウトブリードと呼ぶことが多い。アウトブリードには、5代血統表中に同一の馬が1頭も現れない型と、父(母)がインブリードを所有していても、配合相手馬とはまったく血縁関係のない型の2種類がある。専門家の中には、この2種類を厳密に区別して、後者のみをアウトブリードと定義(前者はアウトクロスとして分類)する人もいる。いずれにしても、父の血統及び母の血統に同じ馬名が現れないという点では共通している。

青毛(あおげ)
被毛(短くて細く全身に密生している毛)、長毛(たてがみ、まえがみ、尾毛など被毛に比べ長い毛)ともに黒色のもの。一般的に全身真っ黒な毛色の馬。また青鹿毛(あおかげ)は全身ほとんど黒色だが、目の周囲、口辺などがいくらか褐色を帯びたもの。

アオる
発馬の状態で、発走直前、あるいはゲートの開いた瞬間にゲート内で立ち上がったりして、前肢を上げた格好で発走すること。レース経験の浅い新馬戦などにこういった状態を見せる馬が多いが、発馬の際アオッて出ることが癖になっている馬もいる。成績表の通過順の上にアオルと書いてある場合、これはそのレースで番番の馬がアオッて出たということで、他の馬よりスタートで損をしているということである。

赤旗(あかはた)
発走時刻の約1分前に発走委員が発走台に上がって、発走準備開始をうながすために振る旗。また発走のやり直しの場合もこの赤旗を振って合図する。昔は繋駕速歩競走(昭和43年廃止)のことを(発走合図に赤い旗を使っていたため)俗に赤旗と言っていた。

赤ランプ
着順掲示板にあり、レースが確定したときに「確」の字とともに点灯される赤ランプのこと。これで到達順位のとおり着順が決定されたことを示す。また、青ランプは「審議」の信号で、2013年から着順掲示板に掲示された馬の着順に変更の可能性がある場合に「審」の文字とともに点灯される。ただし、一部の競馬場では着順掲示板が三面マルチターフビジョンの中にあるので、ランプは使用せず、赤背景白抜き文字で「確定」、青背景白抜き文字で「審議」と表示される。

上がり(あがり)
ゴールから逆算して3ハロン(600メートル)のこと。また半マイル(800メートル)を合わせて言うこともある。「上がり50―38」といえば上がりの半マイル50秒、3ハロン38秒ということになる。この上がり3ハロンに要したタイムを上がりタイムと言っている。競馬場の着順掲示板の下(または横)に出ている数字が、そのレースで要した上がりタイムで、半マイル、3ハロンそれぞれのタイムだ。上がりタイムの速い遅いでそのレースの性格がわかるほどで、重要なデータのひとつ。本紙では各馬の上がりタイムを成績表ならびに能力表成績欄に記載している。

上がり馬(あがりうま)
調子の上がってきている馬。一般には下級条件から短期間のうちに2連勝、3連勝と一挙に上位クラスに上がっていく馬をいう。上昇線を辿っている馬は不利な条件(斤量、道悪など)を克服することが多い。

あがる
牝馬が競走生活にピリオドを打ち、繁殖牝馬として牧場に帰ることを「繁殖に上がる」または単に「あがる」と言っている。地方(公営)で走っていた馬が中央競馬に登録、出走してくる場合にも「中央に上がる」という。また「カイバがあがる」という場合は馬が食欲不振になることをいう。

朝飼葉(あさかいば)
馬に飼料(飼葉)を与えることを飼い付けというが、通常朝夕の2回に分けて与えている。朝の調教が終わった後に付けられる飼葉のことを朝カイバといっている。冬季に馬場が凍ったり雪が降っていたりすると、朝カイバを付けた後に運動、調教など行うこともある。

脚いろ(あしいろ)
脚勢のことを脚いろという。能力を出し切ってスピードが衰えたとき“脚いろが悪い”といい、まだ余力があり、追えば伸びる状態のとき“脚いろがいい”というように使う。似たような言葉で脚がある(ない)というのがあるが、脚があるという場合は、脚いろがいいと同じ意味にも使うし、決め脚がある、能力があるという意味から“一瞬の脚がある”“勝つ脚がある”などと使われる。逆に脚がないという場合は脚いろが悪いという意味、あるいは他馬と比べて能力がないという意味で使われる。また“脚をなくす”というのはレース前半に脚(能力)を使い末脚を失うことで、最後の踏ん張りの利かない状態をいう。また、“一杯”“強目”“馬なり”などは脚いろを表す言葉。

芦毛(あしげ)
原毛色は栗毛または鹿毛ないし青毛等であるが、馬体全般が白色(灰色)で、白い毛に黒色または濃褐色の刺し毛があるもの。生後間もない幼駒は原毛色に近い毛色であるが、月齢、年齢が進むにつれ白色の度合を増す。サラブレッドの芦毛の血統はすべてオルコックアラビアンから出ている。

脚抜き(あしぬき)
ダートにおいて馬場状態を表す言葉で、いい、悪いと合わせて使う。脚を取られ思うように走れないとき「脚抜きが悪い」と言い、同じように見た目悪い馬場でも走りやすい状態のとき「脚抜きがいい」というように使う。

汗取り(あせとり)
馬と人間の両方に使われる言葉。馬の場合は馬体が重く、背肉、腰部、頸の脂肪が取り切れないようなとき、鞍下に毛布、カッパ、ビニールなど風通しの良くないものをかけて、引き運動、追い運動などして、発汗をうながし、汗と一緒に余計な脂肪をとる。人間の場合は体重の重い騎手が体重の調節(減量)を図るために行うもので、蒸し風呂に長時間入浴したり、カッパを着てランニングをしたりして発汗によって体重の調節をする。

当て馬(あてうま)
種付けをするとき、牝馬の発情の有無を調べるために、牝馬に接近させられる牡馬のことで、試情馬ともいわれる。その馬自体は交配させられるわけでなく、一般には“どさんこ”か中間種の牡馬が使われているが、中には種牡馬でありながら、種付け希望の牝馬がいないため当て馬にされている馬もいる。

後検量(あとけんりょう)
レース後騎手が決められた斤量で騎乗していたかどうかを調べること。7着までの騎手と、裁決委員から指定された騎手は所定の場所で脱鞍(他人の手を借りずに騎手自身で行う)し、後検量を受けることになっている。その後検量の目方が前検量に比べ1キロ以上増減のあったときには失格となる。

穴(あな)
人気のない馬が勝ったり、2着に入って、好配当になったとき、“穴が出た”という。この穴を出した馬を穴馬というが、人気馬を負かす可能性のある馬のことも穴馬といっている。また人気馬以外の馬で予想以上に人気(馬券が売れている)になっている馬を穴人気になるという。ただ、こういった穴人気の馬は実力以上の評価をされていることが多く、穴狙いのファンは穴人気になるような馬は狙わないものだ。

穴場(あなば)
馬券(勝ち馬投票券)を売る窓口のこと。昔は握りこぶしがぎりぎり入るように板を円形に切り抜いた穴だったことからその名がついた。現在は形に関係なく穴場というが、馬券売場という人の方が多くなっている。

鐙(あぶみ)
騎手が足を乗せる馬具。鞍の付属具で鞍からあぶみ革によって吊るされているもので、騎手が自分の体を安定させたり、手綱や鞍を自由に使うために足先に力を掛けるために必要。鐙に足を乗せたりおろしたりすることを“鐙を踏む”“鐙を外す”と言っている。

アラアラ
「3角でもうアラアラだった」などと騎手がレース後の話の中で使ったりすることからも分かるように、手応えが怪しくなり余力のなくなった状態のことで、バテてしまったという意味あいに使われている。

アラブ
純血アラブの原産地はアラビア半島。しかし、一般に競走に使われているアラブといわれている馬はアングロアラブまたはアラブ系種で、純血アラブとは違い、アラブよりむしろサラブレッドに近い体形、能力を持っており、アラブ血量25%以上を有する馬に限られている。また、アングロアラブとはアアと呼ばれるもので、アラブとサラブレッドの交配によって生産された馬。サラのスピードにアラブの持久力を調和させる目的で作られたもので、軍馬用に考えられた交雑種である。

併せ馬(あわせうま)
調教で、2頭、3頭あるいはそれ以上の頭数で並んで走らせることを、単走(1頭で走らせること)に対して併走、あるいは併せ馬という。馬に競争意識をつけるために行う場合が多く、2歳馬のデビュー前などはほとんどの馬が併せ馬で調教される。併せ馬をすると競り合うので単走のときに比べタイムが速くなるのが普通。

あんこ
見習い騎手の俗称で、あんちゃんと呼ばれることもあり、「あの厩舎のあんちゃんは乗れる」などと使われている。また騎手になる前の騎手候補生のことを同じように言うこともある。騎手候補生のことを赤帽ということもあるが、これは調教場で赤いヘルメットをかぶっているため。

鞍傷(あんしょう)
馬の背中上腹部などにできる外傷で、鞍の使用法(置き方)が不適当だったり、馬の体と適合してない鞍を使用したために起きるもの。馬の体形によって鞍傷を起こしやすい馬もいるが、そういった馬には鞍下に毛布を敷いたりして予防する。鞍傷がひどくなると騎乗できなくなり、出走不能につながることもある。

鞍上(あんじょう)
「鞍上が替わって」とか「鞍上強化」などと使われるように騎手(ジョッキー)のこと。“くらうえ”とも言うように鞍の上に乗っているという意味。

アーニングインデックス
種牡馬の優劣を判定するためのひとつの目安で、出走馬1頭あたりの収得賞金の平均値を1として、各々の種牡馬の産駒の平均収得賞金の割合を数値で表したもの。1.00が平均となり、数値が大きくなるほど産駒の獲得賞金が多いことを表す。
これを算式にすると
(産駒の総収得賞金÷産駒の出走頭数)÷(出走馬総収得賞金÷総出走頭数)となる。

息を入れる
レース中にひと息入れること。スタートからゴールまで一気呵成に走ることはとても無理で、道中競り合う形で走っていると息が入らなくてバテてしまうというケースはよく見かけるし、後方から行く馬でもうまく息が入らないと最後のスパートが利かず、追い込み不発に終わることになる。うまい騎手はこの息の入れ方が上手なものだ。またレース間隔を開けることをひと息入れるというが、使い込んでいて疲れを取るときやリフレッシュを図るときで、故障で休養するときにはいわない。息が入(はい)るという場合はレースや調教の後、息の上がった状態から、通常の呼吸の状態に戻ることで、「息の入りがいい」というように使う。

育成牧場(いくせいぼくじょう)
牧場で生産された馬が競走馬としての基礎的訓練や調教をする牧場。大きな生産牧場では育成のための施設も備えているが、小規模の生産牧場では調教コースなどを持てないため、生産地に育成調教の場を作るようになった。これが育成牧場で、おもにデビューまでの育成を行う。このほかに競走馬の休養、調整を行うための育成牧場もあり、これはトレセン近くに調教施設を持ち、競走馬の仕上げの一端を担っている。入厩頭数が限られているため、馬の入れ替えなどにこういった育成牧場を利用する厩舎も増えている。

1完歩(いちかんぽ)
馬の歩幅のことで、走っているときの1完歩は7〜8メートルといわれている。この完歩の大きさとピッチでその馬のスピードが分かるわけだが、調子のいいときほど完歩は大きくなり、1ハロンの歩数で調子の良し悪しを見分けている調教パートナー(騎手など)もいる。

1馬身(いちばしん)
馬の体が伸び切った姿勢で鼻端から臀端までの長さをいう。長さは馬格によって異なるが、普通は240〜250センチとされている。着差を表す競馬ならではの単位で、通常1馬身差は0.2秒とされている。

逸走(いっそう)
決められた走路から大きく外れて走ること。内コースと外コースに分かれているところで逸走するケースが多いが、決められたコース内でもラチ沿いまで飛んでいくような場合は「逸走した」という。走路外に逸走したあと競走を続けるためには逸走した地点まで引き返さねばならない。また、逸走した馬は一定期間出走を停止され、期間満了後に再審査に合格しないと再び出走することはできない。

行ったきり
逃げ馬がそのまま勝ってしまうことで逃げ切りとほとんど同じ意味。行ったままともいうが、2着馬も逃げた馬について行ったとき、レースそのものについて“行った行った”のレースといい、行ったきりのレースともいう。

一杯(いっぱい)
脚いろを表す言葉で、脚力に余力がなく加速できなくなった状態を「一杯になる」といい、脚力を出し尽くしたことをいう。調教やレースで“一杯に追う”という場合は馬にまったく余力がなくなるほど騎手が手綱をしごき、またはステッキを入れるなどして追うことをいう。また、一杯になった状態を“お釣りがない”などともいう。

一般(いっぱん)レース
特別レース以外の競走。「新馬」「未勝利」をはじめ「4歳以上〇〇万円以下」など。平場戦ともいう。斤量の定められた特別競走と違って見習い騎手の減量の恩典のあるレースでもある。

一本かぶり
出走馬のうちで馬券の売り上げが極端に多くなる馬のことを“一本にかぶる”というように、断然人気になった馬のことを指す。また連勝の組み合わせでも強力な馬が2頭いてその組み合わせだけが売れるようなときも“一本かぶり”とか“一本にかぶった”などといっている。

イレ込む
イレる、またはじれるともいわれ、馬が興奮したり、何かに気を使って落ち着きのない状態のこと。こういった馬はレースの始まる前(装鞍所、パドック、返し馬など)にスタミナをなくしやすいし、またゲートのミスや折り合いを欠く原因ともなり、レースで全能力を発揮できないことが多い。パドックでは気合の乗っている馬と見間違えやすく、発汗状態(異常に多いときはイレ込んでいる)を注意深く観察したい。また、イレ込み癖のある馬をイレッポといっている。

イン
インコースの略。通常追い込む場合は前の馬の外側を通るが、内側から交わしていくとき“インを突く”“インをスクう”などというようにコースの内側という意味。また逃げ馬がイン一杯(ラチ沿い)を通ることを距離損がないことから経済コースを走ったという。“インで詰まる”“インから抜ける”などよく使われる競馬用語。

インブリード
近親交配のことで、血統の5代前までに同一の祖先(種牡馬)をもっている配合のこと。サラブレッドを生産する場合、意識的に近親交配を行うケースも間々ある。近親馬であることを表記するとき〇〇(馬名)の3×4などと表し、その数字は世代数を示す。ノーザンダンサーの3×4と記されていれば、3代目と4代目にノーザンダンサーが入っていることだし、5×5×5とあれば、5代目に3回入っていることになる。アウトブリード(異系交配)の項参照。

内回り(うちまわり)
競馬場によっては内回りと外回りの2つのコースをもっており、中山では向正面、京都、阪神、新潟では3、4コーナーにかけて内、外に分かれている。中山の場合は極端に小回りになるし、京都、阪神、新潟では直線が短くなる。

ウッドチップコース
繊維状に粉砕された木片を砂の上に敷き詰めた馬場で栗東、美浦のトレセンや函館競馬場で盛んに使われている。この馬場はダートコースに比べクッションが非常に良く、脚への負担が少ないのが最大の特徴。また、馬場を管理、維持する上でも凍結しにくいし、水はけも良いので欧米ではかなり前から取り入れられている。

馬七人三(うましちひとさん)
馬が七分で人が三分ということで、競馬は馬の力だけで決まるものではなく、鞍上(騎手)の及ぼす力も三分あるという言葉。しかし、この割合は“馬八人二”という人もいるし、“馬六人四”という人もあって、どちらにどのくらいの比重を置くかは人それぞれ違う。

馬っ気(うまっけ)
牡馬が発情した状態で、馬房内や、下見所で男性のシンボルを勃起させることをいう。下見所でこんな状態になるときは関係者が水をかけて静めたりするが、異常に興奮しているので競走能力に影響することが多い。比較的レース経験の浅い馬に見かける現象で、キャリアを積んだ古馬は下見所で馬っ気を出すことはほとんどない。

馬なり
調教やレースにおける脚いろの表し方のひとつで、馬の行くままという意味。騎手が補助動作(手綱をしごいて追ったり、ステッキを入れるなど)を加えない走りぶりのことで、“持ったまま”とも言い、通常は幾分余力のある状態を指す。ただ、馬の気性によって馬なりでも能力をほとんど出し切っている場合もあるし、追わないとまったく走らない馬もいるので、個体差があることを知っておきたい。また、レースでゴール前追わずに勝ったときなど「持ったままだった」とか、「馬なりだった」という。

馬主(うまぬし)
競走馬の所有者のこと。中央競馬に馬を出走させようとするものは、まず馬主登録を中央競馬会にしなければならない。馬主には個人、法人、組合の3種類がある。日本中央競馬会競馬施行規程では、登録を拒否するものとして、成年後被後見人、被保佐人及び破産者で復権を得ないもの、禁錮以上の刑に処せられたもの、競馬に関与することを禁止または停止されたもの、調教師、騎手、厩舎関係者および競馬の公正確保上不適当と認められたもの、等は馬主登録ができない登録拒否対象者である。

馬の温泉(うまのおんせん)
温泉を利用して馬の疾病を治療するための施設。福島県いわき市のJRA競走馬総合研究所常磐支所が有名で、ここには馬のプールもあり、故障馬の休養、トレーニングに多くの馬が利用している。馬の故障の多くは脚部の骨折、腱炎などで、温泉による治療効果は非常に大きいと言われている。また、プールは療養馬の運動不足を脚に負担をかけない水泳によって補い、馬体調整に役立っている。他には函館競馬場や、私設のものが山形県の蔵王、福島県の本宮、函館の大湯など全国各地に作られている。

馬番(うまばん)
レースに出走する各馬に付けられた番号で、出走に際してはその番号ゼッケンを付けて出てくる。この番号の若い順(1、2、3……)がインコースからのゲートの順でもあり、枠番とは異なることもある。

馬道(うまみち)
馬の通り道のことだが、馬場、調教コースへの出入りや、馬場を横切るときなどに通る定められた道を言う。馬専用の道でも厩舎の周りや逍遥馬道など馬の運動に使う道は馬道とは言わない。

裏開催(うらかいさい)
中央(東京、中山、京都、阪神)開催が行われている時、同時に行われているローカル(福島、新潟、中京、小倉)開催のこと。しかし、札幌、函館は北海道開催といって中央開催と同時期に行われても裏開催とは言わない。

ウラスジ
屈腱(深屈腱、浅屈腱)のことで、脚の裏側にあるスジということで言われる言葉。「ウラスジがもやもやして」とか、「ウラスジに熱をもって」など関係者の間でよく使われている。

うるさい
馬の性格を表す言葉で、扱いやすく素直な気性の馬を“おとなしい”と言うのに対し、扱いにくかったり、気性的に難のある馬を“うるさい”といい、「うるさいところのある馬」などと使う。

上腹(うわばら)
鞍を装着するとき1本の腹帯だと鞍ズレを起こしやすいし、破損した場合は危険なので、それらの予防のために鞍の上から腹帯の上にもう1本の帯を締めている。これを上腹という。

エアロフォーム
空気抵抗のないように騎手の体にピタッとフィットした勝負服のこと。スピードを競うスケートやスキーの選手が着ている体にピッタリのユニフォームなどをヒントに作られたもので、見た目の格好良さもあって、近年使用している騎手も多くなっている。

エビハラ
屈腱炎のことで単にエビと言うこともある。前肢に起こりやすい腱の病気で、管部の裏側が腫れてしまい、ひどくなるとエビの腹のようにふくれてしまうことからこの名が出た。1度エビハラになると完全に回復させることが難しく、関係者泣かせの病気である。

えん麦(えんばく)
馬の飼料としての穀類の一種で、日本でもっともよく使用されている。えん麦は日本産のえん麦(内麦)と外国産のえん麦(外麦)とに分けられている。外国産のえん麦の方が固形分が多く実が締まっており、蛋白質、脂肪、その他の栄養分が内国産のものより多い。そのため与え方の量は内麦と外麦では異なり、栄養過多にならないように厩舎関係者は十分注意をしている。カイ食いが良い悪い、また何升食べているなどは、このえん麦の食いの速度、量などのことである。

追い切り(おいきり)
各馬の出走日(土・日)の2、3日前の水、木曜日に最後の仕上げとして追われる調教のこと。この追い切りという言葉には多分に一杯に追うという意味あいがある。出走に際しての調子の把握と馬体の調整を目的とするので、単に速いタイムを出すということだけでなく、動き(脚いろ)の良し悪しがポイントとなり、これを見分けるのがトラックマンの仕事。本紙では“調教短評”“調教解説”などで各馬の状態を詳細にお届けしている。またこの追い切りの日を追い日と呼んでいる。

追い込み(おいこみ)
レースの前半は隊列の後方に位置して直線で先行馬に迫るタイプの戦法を追い込みといい、その馬のことを追い込み馬という。先行馬あるいは逃げ馬と対比されるタイプで、強い馬は追い込み馬といわれた時代もあったが、こういったタイプは他力本願になりがちでスローペースだと取りこぼすことも多い。

おいでおいで
騎手が後ろを振り向いて後続馬との間隔を見定めるほどの余裕のある勝ちっぷりのことで、他馬をまったく問題にしないで楽に勝つこと。

大穴(おおあな)
大きな配当のこと。元来は予想外の欠損という意味だが、賭事においては予想外の結果という意味が生じ、競馬では人気のない馬が勝って、高配当になった場合をいう。

おかぐら
馬の耳は普通はピンと立っているものだが、横に垂れている馬もときに見かける。これが神楽舞の獅子の耳に似ていることから、おかぐら耳といわれるようになった。耳のつけ根にゆるみがあり力強さはないが、“お神楽にソツなし”と言って喜ぶ人もいるように馬の能力に関係ない。昭和48年オークス馬となったナスノチグサがこの耳だった。また、フランスでは“ジェベルの耳”と言っている。

置き障害(おきしょうがい)
障害コースには固定された障害が設置されているが、これとは別に障害レースの時だけ平地のコースに置く障害のこと。片面竹柵、両面竹柵があり(一部は高さを変えることができる可動式障害)グリーンウォールやハードルなどの呼称がついている。

抑える(おさえる)
馬の行くままに任せるのではなく、騎手が手綱を絞ってスピードをセーブすること。逃げ馬の場合ならペース配分を考えてのことだし、追い込み馬なら力をタメるために抑えてレースを進めるもの。極端な抑え方をすると馬が掛かってしまうこともあり、無理なく抑えられるかどうかは騎手の技量によるところが大きい。また、調教でも「抑え気味に追った」などと使われるが、オーバーワークにならないように加減して追うことをいい、調教やレースで騎乗者の指示通りスピードをセーブできる馬を“抑えの利く馬”といっている。

オッズ
馬券の概算払い戻し率のこと。競馬場の掲示板や場内テレビなどに示されている数字がそれで、トータリゼーターシステムのコンピューターに直結されている。

お手馬(おてうま)
いつも同じ騎手が調教し、またレースに騎乗していて、その馬の癖や性格など熟知している馬のこと。“お手馬手綱いらず”という言葉があるくらいで、これは安心してみていられる馬と騎手との関係を表している。一般にはベテラン騎手や有名ジョッキーの方がうまいとされているが、若手や見習い騎手でも乗り慣れた馬の場合「この馬はお手馬だから」というように一目置かれることもある。

尾花栗毛(おばなくりげ)
馬の毛色の一種で、栗毛の中で前髪、たてがみ、尾の先などが白いものをいう。尾がススキの穂(尾花)のように見えるためこう呼ばれる。走っていて目立つし美しいので、一線級になればファンがつきやすい。

重い(おもい)
「馬体が重い」とよく使われるが、重っくるしいという意味。素軽さがないということで、「動きが重い」ともいう。体重が増えて目方が重いときも同じように「重い」という言葉が使われているが、前後の内容とニュアンスで使い分けられている。似た言葉に太いというのがあるが、これはあくまで外見上太く見えるということで、馬体が絞り切れない状態のこと。また、馬場が悪いときは「下(馬場)が重い」などという。

折り合い(おりあい)
馬と騎手との呼吸の調和状態のこと。騎手が抑えたいのに行きたがって抑えが利かないこともあるが、こういう状態を「折り合いを欠く」、または「折り合っていない」「折り合いがつかない」などという。逆に騎手の思いのままレースをしている姿は折り合いのついた状態である。折り合いがつかないと馬の能力を出し切れないため、ジョッキーは皆この折り合いをつけることに全力をそそいでいる。人馬一体になることを「鞍上人なく鞍下馬なし」というが、これは折り合いのついた状態を表す言葉である。また、折れ合いという人もいるが意味はまったく同じである。

下ろす(おろす)
競馬に初めて出走させること。「次の開催の初日に下ろそう」というように使う。また障害戦に初めて走らせるときも「障害に下ろす」という。

親子丼(おやこどんぶり)
ひとつのレースで同じ厩舎、または同じ馬主の馬が1、2着を独占することをいう。一般に「〇〇(厩舎または馬主の名前)の親子丼」というように使われている。

オーナーブリーダー
馬主であり、生産者でもある人のこと。もともと生産者である人が、馬を他人に売らず走らせるようになった馬主もいるが、馬主がよりよい馬を安く手に入れるという目的で生産牧場をもつというケースも多いようだ。

オーバーシード
競馬場の芝コースは野芝が張られているが、秋以降になると枯れてくるし道悪での競馬があると傷みも激しくなるため、この野芝の上に冬場に強い洋芝の種をまき、冬期でも緑の芝生で競馬が出来るようにしている。このことをオーバーシードと呼んでいる。’91年の阪神競馬場から始まり、現在冬期に競馬の行われる競馬場で実施されている。

オープン
オープンレースといえば、すべての馬が出走できるレースのことをいい、オープン馬とは最高条件(賞金で分けられたクラスを超えた収得賞金の多い馬)のことである。どの馬にも開放されているのがオープンレースの主旨だが、現状のオープンレースでは「未勝利馬を除く」「〇〇万以下の馬を除く」といった条件がつけられているので、ある程度賞金を稼いでないとオープンレースには出走できない。また、オープン馬イコール素質馬という意味合いもあり、条件馬であっても「オープン級の器」などと使われることはよくある。

外厩(がいきゅう)
トレーニングセンターの外にある厩舎という意味だが、中央競馬において調教師は競馬会よりトレセン内に一定数の厩舎(馬房)を貸与されていて、それ以外には厩舎をもてないことになっている。ただ、管理する馬の数は貸与されている馬房数より多いため、故障馬や疲れの溜まった馬など育成牧場などに預け、馬の入れ替えを図っており、厩舎によっては同じ育成牧場を使うため、その牧場のことを「うちの厩舎の外厩」などと呼んでいる調教師もいる。

外厩制、認定厩舎(がいきゅうせい、にんていきゅうしゃ)
調教師が貸付馬房とは別に一定の要件を満たす民間の育成施設等の馬房を利用できる制度。大井競馬における境共同トレーニングセンター、ホッカイドウ競馬におけるビッグレッドファームや社台ファームなどがこの制度によって外厩と認定されている。従来、放牧に出た場合はレースの4日前までに所属する競馬場に入厩する必要があったが、開催日当日に育成施設から競馬場に輸送してレースに出走させることが可能となった。この外厩制度を利用して調整されたコスモバルクが中央で大活躍(中央出走の場合は10日前までに所属競馬場に入厩することが条件)、03〜04年にかけて中央3連勝で弥生賞を制し、皐月賞でも2着している。

カイ食い(かいぐい)
馬の食欲のこと。「カイ食いがいい(悪い)」というように使われる。カイ食いが良過ぎると馬体が絞り切れず太目になるし、またカイ食いが悪いときは体調に問題がある場合が多い。カイ食いが良くビシビシ追える馬は仕上げやすいが、神経質な馬はカイ食いが細く(悪く)なることが多く、厩舎関係者は牝馬のカイ食いには絶えず気を遣っている。

外向(がいこう)
馬が起立しているときの四肢の状態を肢勢といい、前から見て前肢が真っ直ぐなのを正肢勢という。これに対し足先が外を向いているものを外向肢勢といい、これを一般に「外向」といっている。逆に内に向いているのを内向肢勢といい、「内向」といっている。

戒告(かいこく)
レースやその前後の過程で、公正かつ安全な競馬に対する注意義務を怠った騎手または調教師に課せられる制裁のひとつ。制裁の中では最も軽いもので、過怠金を徴収するにはいたらず、口頭で厳重に注意されるもの。

外国産馬(がいこくさんば)
中央競馬ではマル外印のついた馬で、外国で生まれた馬をいう。ただし、日本軽種馬登録協会の繁殖登録を受けており、種付けのため外国に一時的に輸出された牝馬の産駒であって、日本で種付けされ外国で生まれたもので、当歳の12月31日までに輸入されたものはマル外としない、と、一般事項に定められている。昭和46年活馬の輸入自由化実施にともない、競走上いろいろ制限を受けることとなり、競走番組で(混合)および(国際)と指定された競走以外には出走できない。しかし、ここ数年で競走体系が変わり、今ではすべてのG1に出走できるようになっている。

飼葉(かいば)
馬(競走馬)の食糧のことで、主にえん麦のことだが、青草、乾草、にんじんなど添加物を含めて“カイバ”といっている。

返し馬(かえしうま)
レースの始まる前にパドックから馬場にでてきた馬が、発走までの10〜20分ぐらいの時間に軽いウォーミングアップを行う。このことを返し馬という。ダクからキャンターに移るときの脚捌きや、動きで状態の良し悪しを見極めている人もいるが、馬によって返し馬の強弱は異なり、気性の激しい馬などはほとんど返し馬をせず、馬場の隅でジッと発走を待ち、落ち着かせることに専念している馬もいる。このように返し馬で速く駆けていれば好調と決めつけられず、気合のない馬などに競走意識を持たせるための準備運動と考えたい。

確定(かくてい)
競馬はゴールインして掲示板に着順が出たら、それで着順が決定というわけではない。入着馬の騎手は後検量を受け、規定以上の増減量がなかったかを検査し、さらにレースが公正に行われたか、進路妨害などの事故がなかったかなどを確かめたあと、着順確定の運びとなる。

角馬場(かくばば)
調教コースの内側に作られた小さな馬場で、周囲や走路を柵で囲った1周200〜600メートルほどのコース。入厩間もない馬の初期の調教や気性の激しい馬の軽い追い運動に使われることが多いが、追い切る前のウォーミングアップにこの角馬場を利用している馬もかなりいる。

鹿毛(かげ)
毛色のひとつで被毛は栗毛の帯赤褐色か帯黄褐色で、長毛(たてがみ、尾など)および肢端は濃淡にかかわらず黒色であるもの。

化骨(かこつ)
馬の成長に関する言葉で、骨組織の生成されたことを化骨と言っている。「化骨が遅れている(進んでいる)」というように使われ、強い調教ができるかどうかなど化骨の進み具合で決められるようだ。満3歳ぐらいでできあがるとされているが、個体差もあり、化骨の遅れている馬などは調教段階で故障が出たりすることも多い。

ガサ
馬格のことで「ガサがある(ない)」という使われ方をする。大きな馬のことを「ガサがある」と言う。厩舎独特の言い方である。

貸服(かしふく)
日本中央競馬会が一時的に貸す勝負服のこと。馬主が登録している服色(勝負服の色柄)を使用して騎乗できない場合は服色変更を願い出て、裁決委員の許可を得て貸服を使用することとなっている。色は帽色と同じ色が基調となっている。

粕毛(かすげ)
一般に暗灰色であるが白い刺し毛が混じっている毛色のこと。つまり頭部、四肢の下部および長毛(たてがみなど)は原毛色であるが、その他の部分に白色毛が混じっているものである。原毛色の違いによって栗粕毛、鹿粕毛、青粕毛などと区別されている。

ガス腹
風気疝といわれる病気で、さくへき馬(俗にグイッポと言われ、空気を呑み込む癖で、馬栓棒などの突出物に門歯をかけ支点を求めて空気を呑み込むものが多い)に発生しやすい。原因としては粗剛な飼料、発酵性飼料の過食や運動不足などがあげられている。

過怠金(かたいきん)
騎手、調教師、馬主、厩務員などが競馬施行規定に違反した場合に徴収される制裁金で、金額は違反行為の程度や事情によって異なる。

硬口(かたくち)
騎乗者の意志を馬に伝えるひとつがハミだが、そのハミの操縦に抵抗したり、ハミを通して伝える騎乗者の命令に従順でない馬を硬口と言う。「口の硬い馬」とか、「ハミがかりの悪い馬」と言うのも同じで、調教やレースで騎乗者の意に反して頭を上げたり、引っかかったりする馬のこと。

ガフ
陰門吸引症のこと。膣の中に空気が出入りし、そのため音を発する。その音の感じから通称“ガフ”と呼ばれている。音を発するからといっても体裁が悪いくらいで別に支障はないが、膣口を縫合する手術で簡単に治るようだ。

壁(かべ)
レース後に騎手の話の中に「直線入り口でカベになって…」などと使われるように、自分の進路の前に馬が並んでいるため出て行くコースのない時に壁になると言っている。脚を余して負けたときなどによく使われる言葉。

カラ馬
レース中に騎手が落馬して、騎手を乗せずに走っている馬のこと。逸走したり、競走を中止する馬もいるが、そのままレースに参加する馬もいて「カラ馬に絡まれて」とか、「カラ馬が邪魔になって」などと言われるように、カラ馬がいることで不利を受ける馬も多い。

仮柵(かりさく)
芝コースにおいて芝の保護のために設けられる柵のことで、内ラチから5メートルや10メートルなど一定の距離に置かれる。以前は発馬地点が一定だったため、仮柵をおくと助走距離が長くなるため、速いタイムが出やすく、公式記録とならなかったが、現在は“移動柵”と呼ばれ、ゲート(発馬機)の移動によって一定の助走距離が保てることもあって走破タイムは公式記録とされ、レコードタイムも認められている。

ガレる
馬体が細くなり、毛ヅヤが冴えなかったりして元気のない状態のこと。見た目に肉づきが落ちているようなときに使われる。

変わり身(かわりみ)
休養明けやレース間隔を開けたあと1度レースに使ったことによって、状態がハッキリ良くなり、次のレースで好走した(レースぶりが変わる)とき「変わり身を見せた」という。1度レースを使うことによって、レース勘を取り戻し、2戦目で実力を発揮するという例はよくあることだが、休養明け2戦目というだけで変わり身が期待されることも多いようだ。また、新馬戦、障害入り緒戦のあとなどにも使われる。

管囲(かんい)
体高、胸囲とともに、馬の大きさ(馬格)を測る基準のひとつで、前脚の膝と球節の中間の周囲のこと。平均18〜20センチが普通で、馬体は四肢によって支えられるので細いよりは太い方が丈夫といえる。体重が500キロを超える馬も年々増えており20センチを超える馬も多い。測尺の際は通常左前脚を測る。

カンカン
負担重量のこと。負担重量とはヘルメット、鞭を除いて騎手をはじめ馬の装具など競走馬の上に乗るほとんどの目方のこと。騎手の負担重量を計量する検量室のことをカンカン場と言うが、“貫を看る”場所から貫看(かんかん)場というのが語源とされている。“カンカン泣き”は、斤量に敏感で重い負担重量を苦にする馬のことをいう。

雁行(がんこう)
一般的にはガンの行列の意から斜めに並んでいくことだが、競馬用語においては先行馬が先を争って数頭で並んで走っているようなときに「雁行している」という。実況放送などでよく使われているが、併走と区別しているアナウンサーもいるようだ。

カンパイ
スタートのやり直しのこと。発走委員が真正な発走でないと認めた場合には発走をやり直す。ゲートの前方200メートルの地点に係員がいて、発走委員の合図を受け、白旗を振り、騎手に発走のやり直しを知らせる。英語の「カムバック」が語源といわれている。

関与禁止(かんよきんし)
競馬施行規程第138条に規定されている馬主、調教師、騎手、調教助手、騎手候補者、厩務員に対する処罰の一種。この処分を受けると、一切競馬に関係できなくなる。競走馬の血統を証明する書類を偽造・変造したり、不正に行使した者、など13項目がその対象となっている。

騎坐(きざ)
騎手は馬上で正しくバランスを維持するために脚部で締めつけるように乗っている。この脚部のことを騎坐と言う。鐙に頼らず騎坐だけで乗れるようになれば達者な騎手といえよう。外国人騎手などで馬上で大きなアクションを見せる騎手がいるが、騎坐がしっかりしているからできることだ。

騎乗停止(きじょうていし)
騎手に対する処分の中でも厳しいもので、戒告、過怠金などより重い制裁。騎乗停止に該当する事項は競馬施行規程第145条から第148条に明記されているが、一般的には進路妨害などで降着、失格となった場合が多い。騎乗停止期間中は、中央競馬だけではなく、地方競馬や外国の競馬にも騎乗できない。

奇跡の血量(きせきのけつりょう)
父母を一代目とした場合、三代目と四代目に同じ祖先(種牡馬)があると、その血量を18.75%もつ馬ができる。生産理論のひとつで“フィッツラックの18.75%理論”といい、一般に“奇跡の血量”といわれる。きわめて単純な交配方法で、現在では理論としては問題にされていないが、近親交配の一例で走る馬も数多く出ている。日本ではコダマ(昭和35年ダービー馬)がブランドフォードの18.75%ということで騒がれはじめ、意識的に交配する生産者が増えた時期もあった。

基礎牝馬(きそひんば)
同じ牝系に属する馬のグループを“ファミリー”と呼ぶが、多くの優れた馬を送り出したファミリーの原点ともいうべき役割を果たした馬を基礎牝馬という。日本では小岩井農場のビューチフルドリーマー系などはシンザンはじめ数多くのクラシックホースを出している。

黄旗(きばた)
時計旗といわれるもので、ゲートの5メートル前にあるスタートラインの内側にこの黄旗を持った係員がいる。発馬後先頭馬の通過と同時に旗が振り下ろされ、それを見た計測係がストップウォッチを押してそのレースのタイムが計測される。現在はスタートラインに赤外線による自動タイム測定器があり、併用されている。

決め手(きめて)
一般には得意わざという意味で使われるが、競馬用語としてはレースにおける勝ち馬あるいは連対馬の戦法(逃げ、先行、差し、追い込み)を決め手とか決まり手と言っている。また、「決め手(脚)がある」という場合は勝負を決める末脚があると言うことで、差し、追い込み型の馬を指すことが多い。

脚質(きゃくしつ)
各馬の決め手につながる得意な戦法(走り方)を脚質という。通常は逃げ、先行、差し、追い込みの4つに分けられているが、ペースによって先行策もとれるし、抑えて行って追い込むこともできる馬を自在型と言っている。こういうタイプを“脚質に幅がある馬”とも言う。馬の成長とともに脚質は変わることも多く、固定的なものではない。

キャンター・ギャロップ
ともに駆歩のことだが、緩い駆歩をキャンター(canter)といい、襲歩または競走駆歩と呼ばれる速い駆歩をギャロップ(gallop)と呼んでいる。もちろん競馬はギャロップで争われる。イギリスなどではレースで楽に勝ったとき「キャンターで勝つ」という言い方で表現されているようだ。

急仕上げ(きゅうしあげ)
競走馬を仕上げていくにはかなり日数がかかるのが普通で手間暇がかかる。しかし、目標のレースに間に合わせるため、仕上げの過程で、ある部分を省略して仕上げることがあり、これを急仕上げという。こういう場合、実戦で息が保たなかったり、またそのレースで好勝負しても、反動が出て悪影響を残すことが多いようだ。

厩舎(きゅうしゃ)
厩(うまや)ともいい、馬を入れる建物のこと。一人の調教師が管理する厩(うまや)全体を厩舎ということも多い。“厩舎作戦”“厩舎情報”などの言葉はここから出ているもので、厩舎関係者あるいは厩舎サイドといった意味をもってくる。

厩務員(きゅうむいん)
厩舎で馬の世話をする人。トレーニング・センター場長の承認の上で、調教師との間に雇用契約を結んでいる。原則として1人あたり2頭の持ち馬の一切の面倒をみている。現在、厩務員になるためには、競馬学校の厩務員課程(6カ月)を修了した上で、厩務員試験に合格しなければならない。

胸囲(きょうい)
体高、管囲とともに馬の大きさを測る基準のひとつで、肩甲骨(けんこうこつ)の真後ろの胸の周囲を測る。帯道(径)といわれる所。

競走除外(きょうそうじょがい)
出馬投票された馬が競馬場の装鞍所に入った後で、疾病や事故などによって出走を取り消す場合を競走除外といい、取り消した馬を競走除外馬という。

兄弟馬(きょうだいば)
馬の社会は人間の社会と違って同じ父を持っても兄弟とは言わない。種牡馬は1年間に何10頭も種付けをすることもあり、これをすべて兄弟馬というと大変な数になってしまうからで、同じ母馬から生まれたものだけを兄弟馬と言っている。父が同じ場合を全兄弟(姉妹)といい、父が違っているときは半兄弟という。

禁止薬物(きんしやくぶつ)
馬の競走能力を一時的に高め、または減ずる薬品(薬剤)が競馬施行規程第132条に規定されており、これを投与されその影響があるとみなされる馬は、出馬投票ができない。また、レース後1〜3着までの馬と裁決委員の指定した馬については禁止薬物の検査のため理化学検査を受けている。これはレースの公正確保のためである。

近親交配(きんしんこうはい)
サラブレッドの場合、通常5代前までに同じ名前の馬が2度以上表れているものをいう。異系交配に比べ優秀馬の出る確率が高いとされている。近親繁殖というのもまったく同じこと。インブリードの項参照。

斤量(きんりょう)
負担重量のこと。現在は重量の単位はキロを使っているが、初期の競馬は斤(0.6キロ)が単位だったことから、今でも負担重量のことを斤量と言っている。

食い(くい)
飼葉食いのことで、カイ食いともいうが、単に「食いがいい(悪い)」という方が一般的。“食いが悪い”“食いが細い”“食いが上がる”などはカイ食いが順調でないことをいうが、それぞれ意味合いが異なり、厩舎関係者の間では使い分けられている。

グイッポ
さく癖(へき)の俗称。空気を呑み込む癖で馬には割合多い。胃腸を害して栄養不良になったり、疝痛を起こしやすい。軽度のうちは矯正できるが、習慣性になった場合は矯正は難しい。そのため馬の取り引き時に嫌われることが多く、値段が安くなることもあるようだ。

癖馬(くせうま)
馬自体が何らかの癖を持っているという言葉ではなく、レースや調教でまともに走らない馬をこう呼んでいる。ゲートで膠着して出ない馬、直線走路で内にササッたり、外にヨレたりする馬、またコーナーで外に逃げ逸走するなど、騎手の意志に逆らう動きをする馬のことをいう。

口籠(くちかご)
馬の口につける籠のこと(リップネット)。寝藁(ワラ)を食べたりする採食の異常な馬に使う。食いのいい馬が定量以上に飼葉を食べるので、それを制限するために使う場合もある。昔は竹製であったが、現在は金網製のものになっている。

口取り(くちとり)
競走の前にゲートに誘導したり、ゲート内で抑えるために口をとることも口取りと言うが、一般的には勝った馬がウイナーズ・サークルあるいは馬場内で行う記念撮影のことを指す。

口向き(くちむき)
「口向きがいい(悪い)」と騎手のインタビューなどでよく聞く言葉。要するにハミ受けのことで、口向きが悪いという場合は騎手の思い通り馬を操作できないということである。硬口(かたくち)という言葉も口向きの悪いことで、レース中に頭を上げたり、引っ掛かったりする馬がこれにあたる。

屈腱炎(くっけんえん)
俗に“エビハラ”と呼ばれるもので、競走馬が疾走する上で負担のかかる前肢に起こりやすい腱の病気。管部の裏側が腫れることも多いし、競走馬の能力を著しく減退させ、完治するまでには長い日数がいる。また、再発の可能性が高く、最悪の場合は廃役になりかねない重大な運動器病。

首差し(くびさし)
「首差しのいい(悪い)馬」などと言うように、首のつき具合、状態のこと。競走馬の推進力は首の方向と密接な関係にあり、首のつき方や首の形は能力に大きく影響するといわれている。太過ぎたり、細く貧弱なものは良くなく、力強く自然な形で、45度程度の角度でついているものがいいとされている。

クモズレ
ともずれともいう。後肢の球節(蹄の上の方にくるぶしのように膨らんだところ)の下部にできる円形のむくれ傷のこと。これは馬場の砂などによって擦傷した外傷で、競走馬は後肢の踏み込みがいいため起こりやすい。予防するために球節の後ろに革や布を当てるが、これを“クモズレよけ”という。

鞍(くら)
馬の背中において人や荷を乗せるための馬具。競走用の鞍は負担重量になるためごく小さなものが使用されている。競走中に腹帯がゆるんだりして鞍が外れることを“鞍ズレ”といい、鐙の踏めない状態になるため競馬にならなくなる。また、馬具としての鞍のほかに「ひと鞍でも多く乗りたい」とか「ひと鞍ひと鞍大事に…」など、騎手の話す言葉の中に出てくる鞍はレースを意味するもので、“鞍数(くらかず)”と言えばレース数のことだ。

クラシックレース
明け3歳馬によって争われる五大レースのことで、桜花賞、皐月賞、オークス(優駿牝馬)、ダービー(東京優駿)、菊花賞を指す。この五大レースはいずれも英国の1000ギニー、2000ギニー、オークス、ダービー、セントレジャーの五つの大レースにならって創設されたレースである。

グランドナショナル
英国のエイントリー競馬場で行われる世界最大の障害レースである。距離は約7242メートル、その間に30の障害を飛越するもの。中山大障害はこのグランドナショナルに範をとって作られたといわれる。また、中山大障害を4連勝したフジノオーはグランドナショナルに挑戦している。

栗毛(くりげ)
被毛は帯褐黄色(黄色味を帯びた明るい茶色)、長毛は被毛と同色かその色を帯びた白色であるもの。長毛の色が特に淡いものを尾花栗毛といっている。

グレード制(せい)
重賞競走の役割と重要性を広く認識させ、生産界の指標としての重賞競走の位置づけを明確にするために欧米にならい、昭和59年度より重賞競走を格付けすることとなった。「格」を表わす記号として「GRADE」の頭文字である「G」を使用して、GI、GII、GIIIの3グループに分類されている。GIは競走体系上もっとも重要な意義をもつ根幹競走、GII はGI に次ぐ主要な競走で、GIの勝ち馬も比較的容易に出走できる内容をもった競走である。GIIIについてはGI、GII以外の競走である。また、障害競走の格付けはJGI、JGII、JGIIIとして表記される。なお、平成19年には日本のパートI昇格に伴い、平地競走については、国際格付けを持つ競走をGI、GII、GIIIと表記し、それ以外の競走をJpnI、JpnII、JpnIIIと表記するようになった。

黒鹿毛(くろかげ)
被毛、長毛ともに黒色で濃度も濃く、おおむね馬体全体の3分の2以上におよんでいる。眼の周囲、口辺、腋間、下腹及び股間などは帯褐色である。

繋駕速歩(けいがそくほ)
速歩競走のひとつで騎手を乗せる騎乗速歩に対し、繋駕車(騎手を乗せる小さな馬車)を引いて競走するもの。速歩競走は馬は駆けることができず、人間でいう陸上競技の競歩と同じで4本の脚のうちどれかが地面についていなければいけない競走。使用された馬がトロッターだったことからトロッター競走といわれていたこともある。中央競馬では昭和43年に廃止となった。

経済(けいざい)コース
ムダなくコーナーを走るということで、内柵すれすれに通るコースのこと。「経済コースをとれたから……」など、最短距離を走り、レースに不利のない時に使われる。

繋靱帯炎(けいじんたいえん)
屈腱炎などと同じで競走馬にとって負担のかかる前肢に起こりやすい疾病。俗に「ナカスジ」と言われるもので、なかなか治りづらい。競走馬にとっては職業病ともいえるもので、脚部の疾病の中でも比較的多い運動器病。

軽種(けいしゅ)
馬の分類で軽種といわれるのは、軽快で競走馬や乗馬に適したもので、サラブレッド、アラブ、アングロアラブ、サラブレッド系種、アラブ系種の5種類。以前は軽種の中に準サラというものもあったが、昭和49年、軽種馬の品種の改訂でなくなっている。

鶏跛(けいは)
「とりあし」といわれるもので、鶏の歩く様によく似た歩様。後肢が地面を離れるとき、けいれん状に急激に飛節をあげる状態。常足(歩いているとき)で顕著にあらわれ、見た目に違和感はあるが、競走能力にはまったく関係ない。

毛色(けいろ)
サラブレッドの毛色は以前は栗毛、栃栗毛、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、芦毛の7種と決められていたが、昭和54年ハクタイユウの白毛が認められ、現在は8種となっている。

決勝写真(けっしょうしゃしん)
スリット写真といわれるもので、競走する各馬がゴール板を通過する姿をレースの速度に近い一定の速度で撮影した写真。この写真を着順判定の参考にしている。「写真判定」とはこの決勝写真を見て決めることを言う。

血統(けっとう)
ひと言でいえばその馬の血筋のこと。父、母がどんな馬の系統からきているかということで、一般に血統というとき、「○○の血統」という言い方をし、父馬および母馬の名前を指すことが多い。遺伝力の強いサラブレッドの場合、血統により馬の性質や能力が予測、判断されることが多く、より速い馬を作る上ではその配合に、多大な関心がはらわれている。この血統を系統づけて記されたものが血統書で、世界各国で出されている。

毛ヅヤ
パドック解説などで「毛ヅヤがいい」「毛ヅヤが冴えない」などとさかんに使われているが、毛の色・艶のことである。馬の栄養や健康状態がよく現れるのがこの毛ヅヤで、状態のいいときはつやつや光って見えるし、状態の悪いときは毛が立って光沢がなくなりボサッとした感じに見える。毛ヅヤは馬の手入れの良し悪しによって違うし、光線のあたり具合や、季節(寒い時季、冬毛が出ると毛ヅヤは冴えない)によってもその光沢に違いがあるので、そのときの状況に応じて見極めたいものだ。

気配(けはい)
“気合”と混同しやすいが、気合は馬が競走に向かっての気分の充実度といったもので、元気なときは「気合が乗る」「気合がいい」といわれる。その気合を含む、動きや馬の出来具合(造り)、落ち着きのあるなしなどすべてを観察した状態を気配といっている。具体性がなくても見た感じがいいとき「気配がいい」という言葉で表されることもある。また、追い切りやレースまでの過程での良し悪しを「中間の気配が……」と使われることも多い。

毛ばなが咲く
毛ヅヤに関連することだが、毛先に現れる現象で、急激に熱が出たりしたときに被毛が逆立ち光沢もなくなる状態。こんな時はブラシをかけても直らない。熱など出なくとも疲労がたまるとこんな状態になることもあり、毛ばなの咲くようなときは調子落ちと見ていい。

検疫(けんえき)
家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)に定められた「輸出入検疫」については、馬の場合、基本的には輸出の時5日間、輸入時10日間のけい留検査が実施されている。ジャパンカップ競走等の国際招待競走に出走するために一時的に入国する外国馬については、競馬学校内にある国際厩舎地区が、農林水産大臣より検査場所として指定を受けたうえで、けい留検疫の施設として使用されている。この場合には、輸入検疫期間は5日間に短縮される。海外遠征をした日本馬は、帰国後5日間の輸入検疫のあと、3週間の着地検査が必要となる。また、牧場からトレセンや競馬場に入厩する際にも、数時間から1日、検疫馬房に拘束され検査(入厩検疫)されることになっている。

顕彰馬(けんしょうば)
1985年に日本中央競馬会創立30周年記念事業の一環としてできた制度。中央競馬の発展に多大な貢献のあった過去の名馬の功績をたたえ、顕彰して後世へ伝えていくことになった。

権利(けんり)取り
目標のレースに出走するための権利を取ること。クラシックレースなどでは出走を予定する馬が多いので、収得賞金の少ない馬はトライアルレース(上位2〜3頭が優先出走権を得る)に出走して権利を取りに行く。またハンデ戦に出走するには一定期間に何回(条件によって異なる)か出走しないと登録できないため、目標のハンデ戦を使うために出走することも権利取りという。この場合は勝負にこだわらず使うだけという意味も含んでいる。

検量(けんりょう)
出走馬ごとに定められた負担重量をチェックすることを検量という。発走の70分から50分前に全騎手が行うのを「前検量」といい、レース終了後に上位7位までに入線した騎手及び裁決委員が特に指定した騎手が行うのを「後検量」という。この検量をする場所を検量室という。

減量騎手(げんりょうきしゅ)
見習騎手ともいうが免許の通算取得期間が5年未満であって、勝利度数が100勝以下の騎手に一般レース(特別レースのように斤量の定められたレース以外のレース)において、負担重量を減量する特典が与えられている。勝ち数が30勝以下は3キロ減、50勝以下は2キロ減、100勝以下は1キロ減の負担重量で騎乗できる。この減量制度は技術の未熟な新人(若手)騎手がベテラン騎手と同一条件で競走したとき不利になるため、そのハンデとして負担重量を軽くすることで騎乗機会を少しでも多くし、見習騎手の育成を図るために設けられたものである。当日版(新聞)の騎手欄にある▲は3キロ減を、△は2キロ減、☆は1キロ減を表している。

ゲート
スターティングゲート(発馬機)のこと。「ゲートがいい(悪い)」という場合はゲートからの出がいい(悪い)という意味で、“発馬”そのもののことをゲートと言うことも多い。

控除率(こうじょりつ)
馬券(勝馬投票券)の売り上げのうち約75%が払戻金として的中者に還元されるが、それを差し引いた25%を控除率と言っている。このうち10%が国庫納付金となり、15%が競走の賞金はじめ中央競馬会の運営費に充てられている。なお、単・複馬券では5%が配当に上乗せされ実質は約20%の控除率となっている。また外国では各国それぞれに異なり、アイルランドの12.5%からノルウエーの40%まであるが、競馬主要国といわれる、イギリス19%弱、フランス17%前後、アメリカ(州によっても違う)16〜18%と、日本に比べかなり低くなっている。

降着(こうちゃく)
競走中に他馬の進路を妨害し、いちじるしい不利を与えたとき、その不利を受けた馬の後の着順に下げられること。以前はすべて“失格”となっていたが、外国で行われている降着制度を取り入れたもので徐々に定着してきている。降着させられるほどのインターフェアを犯した場合、騎手は騎乗停止の処分を受けることが多い。

膠着(こうちゃく)
馬が動かなくなった状態で、物見をしたり異常に緊張したときに起こりやすい。馬場に出てから動こうとしない馬や、ゲート内で膠着して出遅れる馬はかなりみられる。

交突(こうとつ)
左右の肢を進めるたびに、一方の蹄鉄で反対側の肢の球節や蹄冠などに接触し、場合によっては負傷を負わせる異常な歩様。このような馬には予防するための蹄鉄をつけたりしている。

興奮剤(こうふんざい)
競走能力を一時的に高める薬品のこと。競馬の公正を確保する上で興奮剤の使用は厳しく取り締まられており、施行規定で定められた薬品の使用が禁止され、競走の10日前から投与できない。また、入着した馬およびレースに疑いのあった馬についてはレース後、採尿され理化学検査を受け、興奮剤や鎮静剤の禁止薬物が検出されると失格となる。

交流競走(こうりゅうきょうそう)
公営と中央の交流のための競走で、1973年競馬法50周年を記念して「地方競馬招待競走」が秋の東京で行われたのが最初。翌年大井で「中央競馬招待競走」が行われ、当初は1年おきに中央、地方で招待競走として行っていた。1986年にはオールカマーと帝王賞という既存の重賞競走が交流競走としてリニューアルされ、年々交流は活発になり、1995年からは日本の競馬は大きく変わった。中央のGI競走に地方競馬の代表が出走できるステップレースが設定され、全国各地の地方馬にもGI挑戦の門戸が開かれた。これまでの部分開放から全面開放となったわけで、中央、地方のチャンピオンシップは一つに統合されたのである。

国際交流(こくさいこうりゅう)
欧米先進国をはじめオーストラリアなど各国と馬、騎手の交流が行われている。日本からは1958〜59年にハクチカラが初めてアメリカ西海岸に遠征、滞在競馬で優勝している。近年は数多くの馬が欧米はじめ香港などの大レースにも参戦するようになっている。また、1981年からはジャパンカップを主催し、世界各国から注目されるレースにまで発展し、日本の競馬のグレードアップにつながっている。

午後乗り(ごごのり)
通常調教(攻め馬)は早朝(時間は季節によって異なる)行われるものだが、馬場の凍結や、積雪などで朝の調教ができないとき、朝飼い葉をつけて午後から馬場入りして調教することをいう。気温が上がってから乗るので太目の馬などには汗がとりやすく、都合のいいこともある。

腰(こし)ふら
腰麻痺(指状糸状虫の幼虫が脳脊髄に寄生することによって起こる病気)の通称だが、他の病気からも起こるもので、突発的に腰痿、高度の跛行、後躯麻痺、起立不能などの運動障害が発生する腰の病気一般をいう。

コズミ
攻め馬のやり過ぎや疲労の蓄積などによって、馬の運動に関係する肩、腹、腰、背、四肢の筋肉、靱帯、腱などに痛みとなってでる軽い筋炎の俗称。外見ギクシャクしたぎこちない歩様で、のびのびした感じがなくなる。パドック解説などでよく耳にする言葉であるが、競走馬は調教によってその馬の限界に近い状態までトレーニングされるため、ちょっとしたオーバーワークがこの“コズミ”の状態をつくることがある。ただ、コズんでいても走る馬はいるので、本当に疲れが出てコズミが出ているのかどうか、ローテーションや、中間の攻め馬時計など参考にして考えたい。また、コズんでいる馬でもレース前の返し馬でほぐれる馬も多いので、その辺は十分観察する必要があろう。

骨量(こつりょう)
骨格がしっかりして各部所の骨が太く大きいことを「骨量がある」とか「骨量に富んでいる」と言っている。若駒のときに脚の骨が太く、関節の大きい馬は成長して骨量豊かな馬になることが多いといわれている。

固定障害(こていしょうがい)
競馬場の障害コースに作られている障害のことで、土塁障害、生籬(いけがき)障害、竹柵障害、水濠障害が主なものだが、空堀と言われる干壕障害や京都だけにある飛び上がり飛び降り台なども固定障害のひとつ。また、中山の谷や福島のバンケットなど“坂路”と呼ばれているものも障害と見なされている。

古馬(こば)
2歳馬の出走する夏季から年末までは3歳以上の馬を古馬といい、年頭から春競馬の終わりまでは4歳以上の馬をいう。2歳馬、3歳馬(春季)は独立した番組でレースを行うが、古馬になると年齢に関係なく賞金の割合によって条件が定められ一緒に戦うこととなる。

5F
5ハロンのこと。普通5Fというのはゴールから逆算して1000メートル地点のことで、1F、3F、4F(半マイル)という場合も同じである。「5ハ」と言うこともあり、レースの前半1000メートルのことを“テンの5ハ”という。また攻め馬で“5F待ち”という言葉がよく使われるが、弱い馬が先行して5F標あたりから併せ馬の形になることをいう。

ころがし
馬券の買い方のひとつ。あるレースが的中したらその配当金を次に買うレースにそっくり買い、さらに的中したら次のレースというように一気に大儲けしようという買い方である。雪だるま式に増えることから“雪だるま(買い)”とか、単に“だるま(買い)”と言うこともある。

仔分け(こわけ)
繁殖牝馬を持っている馬主が、その仔馬を生産者との共有物として売却代金を一定の歩合で分け合うこと。馬主自身がその仔馬を競走馬とすることが多く、その場合は評価額の一定歩合を生産者に支払うことになる。

ゴーグル
騎手がレースで着用するメガネで風雨・砂・泥などを防ぐもの。雨の日や不良馬場で砂や泥が多い日は土砂がついて1枚では役に立たず、何枚か重ねて着用し、レース中に次々と外しながら乗っている騎手もいる。

再騎乗(さいきじょう)
“落馬再騎乗”とも言い、レース中に落馬して競走を中断した騎手が、再度馬に乗って競走を続行することで、それまでは認められていたが、2017年1月1日よりルールの国際調和及び騎手と馬の保護の観点から、競走において騎手が落馬した場合、再騎乗して競走を継続することを禁止された。

裁決委員(さいけついいん)
着順の確定、異議の申し立てに対する裁決、出走馬及び騎手に対する保安措置と裁決、競馬の公正を害する行為の取り締まりなど競馬が施行される上で重要かつ絶対に必要な仕事を担当している。

再審査(さいしんさ)
裁決委員によって課せられる馬に対する制裁で、レース中に斜行したり逸走した馬には走路調教再審査、ゲート入りの悪い馬、ゲート内での駐立不良、発馬の特に悪い馬に対しては発走調教再審査が課される。この再審査にパスしないと次のレースに出走できない。

下げる(さげる)
レース中、騎手の判断で、意識的に馬順を下げること。他馬に寄られたり、挟まれたりしてやむを得ず下げることもあるが、末脚を生かす馬にとっては速いペースについて行っては持ち味を生かせないので、後方に下げてチャンスを待つこともしばしば見受ける。

笹針治療(ささばりちりょう)
単に笹針と言うことも多い。ハリ治療の中でも最もポピュラーなもので、「三稜針」という針を用いるが、この針の形が笹の葉に似ていることから“笹針”と名づけられている。急性の筋肉疲労(コズミ)でうっ血している部分に施し、刺激によって新陳代謝をうながす。つまり肩や腰に乱刺して放血させ疲労を取り除くことである。使い込まれた馬が休養する前に笹針を打つことが多く、休養期間は最低でも1カ月ぐらい必要といわれている。

ササる
調教、またはレース中に馬が内へ斜行することを言う。脚いろが一杯となって苦しくてササる場合と、馬自身の気性や癖でササる場合があり、後者の場合は左回りでササる馬は右回りになると“ヨレる”(外に斜行する)ことが多い。同じ斜行でも異なった意味で“モタれる”という言葉も使われるが、この三つの言葉にはっきりした区別がなくなってきている。

差し脚(さしあし)
馬の脚質のひとつで、先行馬群を射程圏に入れて進み、直線の勝負で速い脚を使い前にいる馬を交わす。目標にした馬をキッチリ捉えたとき差し切ると言い、及ばなかったとき差し届かなかったという。また、一旦先頭に立った馬が後方からきた馬に並ばれ、あるいは交わされてから巻き返して先着したとき差し返すという。この差し脚を武器に戦うタイプの馬を“差し馬”といっている。

挫跖(ざせき)
蹄底に起きる炎症(内出血)のことで、走っているときに後肢の蹄の先端を前肢の蹄底にぶつけたり、あるいは石などの硬いものを踏んだときに発症する。蹄底の浅い馬、時として踏み込みの良い馬にも起こりやすい。前肢に多く発症し、蹄に熱をもち、ひどい跛行になる。

殺処分(さつしょぶん)
安楽死と言われているもので、競走馬が病気で倒れたり、脚を折って再起不能と診断されたときに殺処分することがある。競馬場でレース中に倒れた馬が出た場合、幕を張ってスタンドから見えないようにしているが、筋肉弛緩剤を注射して馬運車に収容するためであって、その場で殺処分することはほとんどない。

サラブレッド
馬の品種のひとつで、単に「サラ」と言うことも多い。現在JRAではこのサラブレッドだけで競馬が行われている。イギリスで長い年月をかけて競走馬として作られてきたもので、サラブレッドには「純血」という意味がある。一般用語としても家柄がいいとか育ちがいいという意味合いで“サラブレッド”という言葉は使われている。

三冠馬(さんかんば)
3歳五大クラシックのうち皐月賞、ダービー(東京優駿)、菊花賞を制覇した馬を三冠馬という。これはイギリスの競馬にならったもので、英国では2000ギニー、ダービー、セントレジャーの優勝馬を三冠馬と言っている。またアメリカではケンタッキーダービー、プリークネスS、ベルモントSの優勝馬を三冠馬という。日本の場合は菊花賞が秋に行われるため、異なった距離の三つのレースを勝つことは大変難しく、41年セントライト、64年シンザン、83年ミスターシービー、84年シンボリルドルフ、94年ナリタブライアン、05年ディープインパクト、11年オルフェーヴルの7頭がその栄誉に輝いている。シンザンが古馬の大レース天皇賞、有馬記念にも優勝し五冠馬と言われたが、シンボリルドルフ、ディープインパクトも五冠馬になっている。これに模して牝馬の三冠というのもあるが、桜花賞、オークス、秋華賞(95年以前はエリザベス女王杯)を制覇した馬で、86年のメジロラモーヌ、03年のスティルインラブ、10年のアパパネ、12年のジェンティルドンナの4頭だけである。

産駒(さんく)
「〇〇の産駒」という使い方をされ、〇〇は一般的には父馬である種牡馬の馬名、たとえば“サンデーサイレンス産駒”という言い方をする。母馬がクラシック馬であったり有名な馬の場合は母馬の名を前につけて言うこともある。

三大始祖(さんだいしそ)
現在世界中のサラブレッドについて、その牡系子孫が残っているのはダーレー・アラビアン、ゴドルフィン・アラビアン、バイアリー・タークを祖とする三つの牡系統である。このことを「三大始祖」または「三大根幹種牡馬」と言っている。この3頭のうち現在サラブレッドの90%以上がダーレー・アラビアン系で、圧倒的優位を保っている。

3分3厘(さんぶさんりん)
ゴールまで約660メートルの地点のこと。一分が200メートルであることから計算されるわけだが、一般には3角過ぎの勝負どころという意味で使われる。騎手の話の中などでは「3分3厘から行って」とか、「3分3厘で手応えが…」など仕掛けどころという意味で使うことが多い。

仕上がり(しあがり)
競走馬としての馬体のでき具合を表す言葉。無駄肉がなく、競馬に行って能力を出せる馬体になったとき「仕上がった」という。「仕上がりひと息」と言えば完調一歩手前ということだし、「仕上がり途上」と言えばまだ仕上がっていないという意味となる。

ジェイ・アール・エー(JRA)
日本中央競馬会の略称で、87年4月に制定されている。ジャパン・レーシング・アソシエイションの頭文字をとったものである。

JRA育成馬
日本中央競馬会が各生産地で開催される軽種馬の市場(せり市)で購入もしくは自ら生産し、育成場で一定期間に研究・技術開発のため管理・育成・調教を行った馬を、2歳時に希望する登録馬主にトレーニングセール形式、またはセリ方式で売却、配布する馬のこと。04年までは抽せんのうえ、一定の価格で売却、配布されていた。はじめは競走馬資源の確保が目的だったが、現在ではせり市場の振興のために行われているようだ。安い馬の代名詞のように軽く扱う人もいるが、朝日杯フューテュリティS勝ちのセイウンワンダーや阪神ジュベナイルフィリーズ勝ちのタムロチェリー、ステイヤーズSを2度制したホットシークレットなど優秀な馬も数多い。

ジェーンビット
中折れしない棒状の銜身を口の外側へ延長し、その延長部の両端に手綱を装着する金環が、更に銜身の口から出た部分に下顎をくるむ金属枠がついたもの。金属枠によって銜身が口内の正しい位置に固定される上、一般的なハミと違いテコの作用が加わるので、手綱の操作が通常より強力に口角に伝わり、ヨレる癖のある馬に効果がある。

仕掛ける(しかける)
騎手が馬にスパートさせること。ひとつのレースの流れの中から加速(ペースアップ)させることだが、騎手は気合を入れるため手綱をしごいたり、ステッキを入れたり補助動作を加えてスピードアップを捉す。「3コーナーで仕掛ける」「仕掛けが早かった」などレース後のインタビューなどでさかんに使われるが、勝敗に直接関係する言葉だからだ。また「仕掛け気味に追う」ということもあるが、この場合は気合をつけながらという意味で使われている。

軸馬(じくうま)
連勝式(連勝複式)で中心(軸)になる馬のこと。同じ本命馬でも勝てなくても2着は外さないタイプ、取りこぼしはあっても堅実なので大きく崩れることはなく連勝には絡んできそうな馬のこと。成績は安定しているが決め手不足という馬が“軸馬”といわれるレースもしばしば見かける。

自在(じざい)
競馬用語として使われる場合は脚質のひとつの“自在脚質”のこと。「自在型」あるいは「自在性がある」という使い方をされるが、先行もできるし差したり追い込んだりもできるということで、ペースが速ければ抑えていけるし、逆に遅ければ前に行って戦えるという近代競馬向きの脚質。“器用な馬”とか“脚質に幅がある”というのも同じことで、どんな流れにも対応できるタイプで安定感がある脚質。

市場取引(しじょうとりひき)
一般には「せり取引」と言われるもので公開のせり市場で売買されるため、その価格が他人にはっきり分かるようになっている。

下見所(したみしょ)
パドック、または曳き馬場といわれるところで、発走の約30分前に装鞍所から入場、人に曳かれて場内をぐるぐる回る。掲示板には出走馬名、騎手、斤量、馬体重などが発表され、同時に各種勝ち馬投票券のオッズが表示されている。ファンはここで各馬の状態を観察、馬の仕上がり具合や気合の乗り方など確かめる。発走の15分前くらいになると騎手が騎乗し、ここから馬場に出ていく。

失格(しっかく)
着順を取り消されること。
その理由としては
(1)競走能力に及ぼす薬品、薬剤の使用
(2)正当な理由なく馬の全能力を発揮させない時
(3)不正の目的をもって前検量で計量した負担重量を負担せず騎乗した時
(4)走行妨害のなかでも極めて悪質かつ他の騎手や馬に対する危険な行為で、競争に重大な支障を生じさせた時
(5)落馬、逸走した時その地点に戻らず競走した時
(6)3000メートル以下で5分、3000メートルを超える競走で7分以上かかった時
(7)後検量を受けなかった時
(8)馬が不正な協定の実行に供せられた時
(9)後検量で前検量との差が1キロを超えた時
などである。
確定後でも禁止薬物の使用などで失格となった場合賞金などは没収される。

終い(しまい)
レースの最後という意味で、「終いが甘くなった」とか「終いでいい脚が使えた」などと使われ、レース後の騎手の話によく出てくるように、直線あるいはゴール前を指す。「終い(の脚)を生かす」という使い方もするが、この場合は馬の力をタメて最後の直線で能力を出すということ。

遮眼革(しゃがんかく)
ブリンカーといわれるもので、以前は遮眼帯といわれていたもの。競走中に他馬に気を使ったり、物見(ものみ)をして走る癖のある馬に、レース中、気を散らさず集中させるように、前方だけしか見えないように作られた革製の装具。遮眼革にも遮眼角度の違いから形の異なるもの、覆面につけられたものなどいろいろあり多種多様である。気性の激しい馬(悪い馬)などには、初めて使用したとき特に効果が出ることもあり注意したい。

斜行(しゃこう)
競走中に馬が斜めに走ること。他馬の進路を妨害したり、事故の原因となることも多く、騎手がレース中に注意義務を怠ったものとされ、軽度の場合は戒告、非常に重大なものは騎乗停止まで、その度合によってではあるが、何らかの制裁の対象になることが多い。また、障害競走において飛越の際に斜めに飛ぶことを斜飛(しゃひ)という。

シャドーロール
鼻の上に着けたり、巻いたりしている羊の毛などで作られた太いモール状の装具。競走馬は自分の前脚の動き、物の影や芝の切れ目などに驚いて跳んだり、立ち止まったりすることがあり、それを防ぐため(下が見えないようにする)の装具。

15−15
1ハロン(200メートル)を15秒平均のスピードで走る、または走らせること。14―14、13―13も同じで調教でのペースを表す言葉。「普通のキャンター」と言われるのが1ハロン20秒ぐらいで、「大きめ」というと17〜18秒で駆けることをいう。15―15というと馬を仕上げる上でのひとつの目安で、デビュー前の馬や休み明けの馬はこの15―15ができると最終段階の強い調教へと進んで行く。また、使い込んでいる馬の場合は「レース間隔が詰まってるから15―15で十分だ」などと、タイムとは関係なく軽い攻め馬という意味で使っている場合も多い。

重賞(じゅうしょう)競走
特別競走の中でも特に賞金が高く、重要な意義をもって設けられた競走で、五大クラシックレース、天皇賞、有馬記念をはじめグレード競走と言われるレースはすべて重賞競走である。特別競走の中で第〇回と付されているのが重賞競走で、オープン馬で争われる。

収得賞金(しゅうとくしょうきん)
競走条件の〇〇万円とは収得賞金のことで、基本的には1着の本賞金および重賞競走の2着賞金の合計額をいう。算入金額はオープンの場合は該当する着順の本賞金額の半額、1600万下条件戦では900万円、1000万下条件戦では600万円、500万下条件戦では500万円、新馬・未勝利戦では400万円となっており、獲得賞金とは異なる。

習癖(しゅうへき)
運動時や馬房内で馬の行ういろいろな癖の総称。調教や飼料の管理、馬とのコミュニケーションなどによって矯正していく必要があるが、競走中の癖については騎手がその馬の癖を熟知して騎乗しないと事故の原因になったりする。

蹴癖(しゅうへき)
人や他馬を蹴る癖のこと。蹴癖馬は周りの馬や人に危険を及ぼすので、トレセンや牧場では危険防止のため、目印として尾の根本に赤い布を着け誰にでも分かるようにしている。

出走停止(しゅっそうていし)
競走の公正を保つため
(1)競走において他馬に危害を及ぼすおそれのあるとき。
(2)調教が十分でないとき。(発馬なども含む)
(3)健康に支障のあるとき。
(4)一時的に能力を高めまたは減少したと思われる薬品、薬剤を使用したとき。
(5)競走に関して不正な協定の実行、不正な目的に供せられるおそれのあるとき。
などは、期間を定めてその馬の出走を停止する。

出走取消(しゅっそうとりけし)
出馬投票後、出走予定馬が急な疾病、事故などの理由により、裁決委員の許可を受けて出走を取りやめること。競馬場、ウインズなど勝ち馬投票券売場には必ず発表されているので、取消馬のあるなしは確認しておきたいものだ。

種牡馬(しゅぼば)
“種馬(たねうま)”ともいわれるが、父馬のこと。より速く、より強い馬を作り出すためにサラブレッドの生産において種牡馬の選定はとくに大切であり、競走成績の優れた馬、血統の良い馬のみが選ばれて種牡馬となっている。

準(じゅん)オープン
競走馬は競走番組上条件別に分類されているが、オープンに次ぐクラスで、いわゆる高額条件に位置する馬。そのクラスを勝つとオープンになる馬自体を指すこともあるし、そのクラスのことを準オープンと言うこともある。

馴致(じゅんち)
一般的にも段々に馴らすことを馴致というが、競走馬の場合でも同じである。広い意味で言えば、生を受けた馬を競走馬に仕上げていく過程は全て馴致ということになる。初期の段階の馬装馴致(鞍を置いたりハミを着けたりする)に始まり騎乗馴致(人を乗せ騎乗者の意志に沿うようにする)、調教馴致(発走を含め競走馬としての仕上げ)と進んでいく。

昇級戦(しょうきゅうせん)
勝つことによってクラスが上がることを昇級するという。その昇級してはじめてのレースを昇級戦(昇級緒戦)といっている。「昇級戦にしては走っている」とか、「昇級戦でペースが…」などレース後の騎手の話によく出てくる。

条件(じょうけん)レース
中央競馬は収得賞金によってクラス分けされ、条件が定められている。どのレースも広い意味での条件レースに違いないが、オープンや新馬戦、重賞レースなどは条件レースとはいわない。3歳〇〇万円以下など収得賞金によって条件が付けられているレースをいう。また条件が付けられていても、特別レースは一般レースと分けて考えられ、条件レースと呼ばないこともある。

勝負服(しょうぶふく)
騎手がレースに騎乗するときに着ている服。中央競馬の場合は馬主がそれぞれ自分の色、柄の服色を登録しており、騎手は馬主に合わせて着替えてレースに出場している。公営競馬では各騎手が自分の勝負服(各自の色柄)を持っており、レースを見慣れると誰が乗っているかすぐ分かるようになる。

ジリ脚(あし)
脚質のひとつ。決め手がなく速い脚が使えないタイプで、ジリジリとしか差を詰められないというのが語源。こういった脚質の馬は平均ペースになると粘りを発揮するが、瞬発力がないため勝てそうでいて勝てなく、2、3着になることが多いので、単勝では狙いにくいタイプといえよう。

白毛(しろげ)
馬の毛色のひとつで、白色またはほとんど白色で生まれるが、うなじや耳などに色素があることもあり、有色毛の刺し毛斑や有色斑があることもある。また、眼が青色であることも多い。この毛色の発現はサラブレッドでは十分解明されていない。

白旗(しろはた)
スタート時、ゲートから200メートルくらいの走路内に立っている人が持っている旗。発走委員が真正な発走でないと認めて振る赤旗を見て、この白旗が左右に振られる。騎手はこの合図を見て馬を止め、スタートのやり直しとなる。

シンジケート
一般には共同販売を行うための企業連合をいうが、競馬の世界では主に種牡馬について組織される株主のことで、1頭の種牡馬を数十株に分けて、その保有株数に応じて種付けの権利を持つことになる。通常組まれる株数は40〜60株で、1株につき1頭の種付け権利を持つ。

新馬戦(しんばせん)
サラブレッドのデビュー戦のこと。夏の2歳戦から始まり3歳春の3月頃まで競走番組に組まれている。新馬戦はその馬の能力だけでなく競走センスも分かるため競走馬にとって重要なレースであり、馬主、生産者など関係者は新馬勝ちをことのほか喜ぶ。

心房細動(しんぼうさいどう)
心臓発作のひとつで、競走中に発症する場合が多い。急激にスピードダウンして、骨折でも起こしたのではと見てる人に思わせる。健康な馬でも突然発症する病気で、原因も明らかでないし、その治療法も特にない。そのまま競走馬を断念するような場合もあるが、ほとんどは一過性のもので、自然に治ってしまい再発もしないことが多いようだ。

末脚(すえあし)
最後の直線での脚勢のこと。ゴール前の伸び脚のいい場合「末脚が切れる」というし、逆にゴール前にきて踏ん張りの利かない場合を「末脚が甘い」などという。競走馬にとってこの末脚の良し悪しは強さ、資質を表すものである。

スクみ
筋肉が硬直することで「肩にスクみが見られる」などと使われる。疲労の蓄積や、急激な運動などに起因することが多く、休養や運動(調教を含む)の軽減によって回復する。

スクーリング
一般用語では面接授業(通信教育の学生に行う)をいうが競馬用語としては、はじめての競馬場でレースをする馬に前もって下見をさせることをいう。馬運車での輸送、競馬場へ着いてからは装鞍所、パドック、馬場への出入り、コースでの足慣らしなどすべてを経験させる。

スタミナ・インデックス
種牡馬の産駒の平均勝ち距離(2歳戦、障害戦を除いて計算されたもの)のことで、「平均スタミナ」ともいっている。これによってある程度産駒の距離に対する適応性を知ることができる。しかし、日本に限らず世界の競馬界で競走距離が短くなる傾向にあり、スタミナよりスピードに重点がおかれ、あまり重要視されなくなっている。

ステイヤー
長距離(2400メートル以上)レースで好成績を上げるスタミナ豊富な馬のこと。長距離戦は重賞・特別レースが主で一般レースにはほとんどない。中距離戦に勝った馬が次第に長い距離にも慣れて勝つというのが日本の競馬の仕組みで、本質的なステイヤーが育つシステムにはなっていないようだ。菊花賞や春の天皇賞は正にステイヤー活躍の場だが、ともすると前半緩いペースになり、後半1マイルだけの競馬になったりして、本当の意味でのステイヤーだけが勝っているとはいえない。

スパイラルコース
第1、第3コーナーのカーブへの入りが緩やかで、後になるほど急になり、最終的に第2、第4コーナーを鋭角に回るように設計された競馬場で、まるで螺旋の中心に向かって走って行くように徐々にカーブがキツくなることからこう呼ばれている。JRAでは東京、中山、札幌以外の各競馬場で採用されている。

スパーピン
飛節内腫の俗称。飛節の前内側に骨瘤が発生する関節炎で、関節を構成する骨が完全に化骨していない若馬に、強い調教をさせたりすると発症しやすい。また、古馬でも飛節の曲がった馬や歩行時に飛節を捻るような馬には発症することがある。

ズブい
馬自身が積極的に走るタイプではなく、騎手が補助動作(手綱をしごいたり、ステッキを入れるなど)を加えないとレースの流れについていけない馬を“ズブい馬”といっている。こういう馬は追われ通しでいてもバテないので上がりのかかるレースで突っ込んできたりする。エンジンのかかりが遅いので短距離戦向きではない。「古馬になってズブさが出てきた」などといわれることもあるが、当初、素軽い動きをしていた馬でも、レース経験を積むに連れてズブくなることはあり、必ずしも悪いことではない。馬がレースを覚えていく段階で「いい意味でのズブさが……」と使われることもある。

スプリンター
ステイヤーの反対で短距離(一般に1400メートル以下)戦に強い馬をいう。長距離戦と違って条件戦でも特別、一般レースを問わず短距離レースは数多く組まれており、スプリンターの活躍の場は多い。以前は短距離レースは軽く見られ、一流馬の出ないレースというイメージもあったが、現在はスプリンターズS、高松宮記念などG1レースもあり、スプリンターに対する価値観も変わってきている。

生産牧場(せいさんぼくじょう)
競走馬を生産、育成して、その馬を売却することを目的にしている牧場。単に牧場ということの方が多いが、育成だけを行っている「育成牧場」と区別するために生産牧場といっている。繁殖用の牝馬を所有し、種牡馬の選定、交配に始まり、生まれた馬をトレーニングセンターや競馬場の厩舎に入れる時、または育成牧場に送るまでの馴致や育成を行っている。

せったる
凹背のこと。背中の線がたるんでいることで、前後躯のバランスが悪い馬が多い。軽度のものは競走能力に影響ないといわれているが、斤量が重くなると負担が大きくなるともいわれている。

攻め馬(せめうま)
一般に言われている調教のこと。調教といっても他の動物の場合と違って馴らすこと以外に走る能力を引き出すこと、走る能力を出し切れる状態(馬体を仕上げる)に持っていくことなどを含んでいる。その目的のために連日馬場に入って走る練習を繰り返しているが、これを攻め馬または追い運動といっている。出走するための最終段階の調整における攻め馬を「追い切り」といって、通常の攻め馬と区別することが多い。

せり
競売のこと。「市場取引」または「せり取引」といわれるように公開の市場で売買される。生産者が“お台”(希望価格)をつけ、購買者がせり上げていく価格の決め方で、他人にもその馬の値段が分かるようになっている。現在は当歳、1歳、2歳、繁殖馬セールなど市場取引も多様化してきている。

競る(せる)
競り合うともいうが2頭以上の馬が並んでお互いに前へ前へと一歩でも先に行こうと争いながら進む状態をいう。逃げ争いという形が一番多く目につくが、好位を取り合って競ることもある。レース中に競り合うと余分な力を使うことにもなり、末脚を失くすことも多いようだ。

背割れ(せわれ)
競走馬は馬体を絞り、スマートな形に仕上げて行くわけだが、まだ絞り切れないで背中に無駄肉がついている状態をいう。「まだ背割れしているので……」などと仕上がり途上の馬に使われる。

先行(せんこう)
読んで字のごとしで先に行くことだが、競馬で「先行」といえば逃げるということだけを指すのではなく、前から3番手ぐらいまでに行ける(頭数によっても異なるが逃げ馬について行ける)ことを指す。

前日追い(ぜんじつおい)
競走日の2〜4日前ぐらいに追い切られた馬が、競走日の前日に最終の調整を目的に軽く(場合によっては強めに)追うこと。本紙はこの動きを重視し“直前変り身診断”として掲載。レース検討の一助としている。

疝痛(せんつう)
疝痛とは馬の腹痛のことで、急性胃拡張(過食疝)、急性腸カタル、風気疝(ガス腹)、便秘疝、腸捻転などの総称をいう。馬の腹部臓器は疝痛を起こしやすい構造となっており、馬の内科的疾病として昔から最も代表的なものとされており、しかも発生頻度が高く致死率も高いので恐ろしい病気のひとつである。

セン馬(せんば)
去勢された牡馬のこと。去勢の効果、目的としては、気の悪さの解消のほか、中年太りの解消・予防、筋肉を柔らかくする、完歩(ストライド)が伸びるなど、多目的で去勢が行われる。また、セン馬は朝日杯FS、皐月賞、NHKマイルC、ダービー、菊花賞には出走できない。

喘鳴症(ぜんめいしょう)
普通「ノド鳴り」と言われているもので、喉頭部を支配する神経が麻痺し、そのため喉頭口が狭くなり呼吸のたびに「ひゅうひゅう」または「ぜいぜい」といった狭窄音を発する病気である。競走馬は全力疾走の時、多量の空気を呼吸するため、この病気があると呼吸困難を起こすこともあり、競走能力に影響することが多い。

旋毛(せんもう)
馬の「つむじ」のこと。馬の被毛は直立して生えないで、皮膚面に対し傾斜して生えるため、体表面に毛流ができる。その起始部や終止部が渦巻き状になっており、これを旋毛という。この旋毛はできる部位によって呼び名も異なり、19種に細分されている。よく耳にするところでは珠目(しゅもく・額、鼻梁など顔)、吭搦(ふえがらみ・頸の下部)、髪中(かみなか・たてがみの生えぎわ)、双門(そうもん・胸前両側上部)、初地(しょち・前膊および管)、沙流上(さるのぼり・脛(すね)および後管)などがある。

装鞍所(そうあんじょ)
レースに出る馬は発走の70分前(特定競走は90分前)までに装鞍所に入らなければならない(施行規定101条)ことになっている。装鞍所では馬体重の計量、出走する馬に違いないかどうかを確かめる個体鑑別、健康検査(禁止薬物の影響下にあるかどうかの検査を含む)、蹄鉄の検査などが行われ、その後、あらかじめ騎手が持って検量された鞍を装着する。そして、ひとつ前のレースの発走時刻になると下見所に曳き出される。装鞍所では水や飼料など一切与えることが出来ない。また、装鞍所には競馬監督官、競馬会の職員、その競馬に関係する調教師、騎手、厩務員以外は開催委員長の許可がなければ出入りできない。

装蹄師(そうていし)
馬の削蹄、装蹄をする人。蹄鉄は一定期間毎に削蹄して打ち替えられるが、競走時には競走用の蹄鉄(アルミニューム製の勝負鉄)を走る前に打つ。蹄は馬体を支える基礎であり、運動上重要な部分である。したがって、削蹄、装蹄は直接・間接的に馬の能力に大きな影響を及ぼすので、競走馬にとって装蹄師の役割は大きい。装蹄師になるには、(公社)日本装削蹄協会が実施している1年間にわたる講習会〈全寮制〉を受講し、認定試験に合格する必要がある。

総流し(そうながし)
連勝式の馬券の買い方のひとつで、1頭(枠)の軸馬を決め、他の全ての馬(枠)を相手に選ぶことである。“流し買い”というのも同じ。

相馬(そうま)
馬格(馬の体型、外観)の見方を昔から相馬といっている。これは長い経験が必要とされ、簡単には説明できないが、常識的には全体として均整がとれ、骨量に富み、比較的に幅があり、しかも品があり、皮膚の薄い感じのものがいい馬と言われている。

ソエ
管骨瘤や管の炎症の俗称。若駒によく見られる症状で、急激な調教や過度の調教、装蹄の悪い場合などによく起きる。ソエそのものは固まれば競走能力に支障はなく、焼いて固めることが多い。2歳戦では「ソエが出ていたので…」とか「ソエが固まったので…」などよく使われる言葉だ。

外回り(そとまわり)
競馬場によって内回りと外回りの2つのコースをもっており、中山では向正面、京都、阪神、新潟では3〜4角にかけて内外に分かれている。中山の外回りは内回りに比べかなり高くなっており、2角及び3角のカーブが緩くなっている。京都、阪神、新潟は内回りに比べて直線の距離が、それぞれ約75メートル、120メートル、300メートルもちがうので追い込み型の馬に有利なコース形態といえよう。

外枠発走(そとわくはっそう)
発馬癖の悪い馬など馬番に関係なく出走馬の一番外側に入れられ発走していた時代もあった。これを外枠発走というが、現在はゲートの当該枠が破損するなどして使用できなくなった場合や、ゲート内で暴れて他馬に影響を及ぼすと認められた馬が外側のゲートに入れられ外枠発走となることがある。外枠発走の場合本紙では各馬の成績欄(能力表)に12頭立てでもプラス2の14ゲートと記しており、外枠に回されたことが分かるようになっている。

ソラを使う
レースや調教時の走行中における馬の癖で、走ることに対する集中力を欠いてしまうこと。直線でソラを使う馬はよく見かけるが、他馬と並んでいるうちは一生懸命走っていた馬が先頭に出て1頭になった途端に急激にスピードを落とすようなケースである。

待機馬(たいきば)
ある期間レースを開けて出走する馬のことで、夏季に中央場所が休みとなり、ローカル(福島、新潟、中京、小倉、函館、札幌)で競馬が行われるが、そのローカル戦に出張せず、秋競馬を待つ場合に当てはまる。また、冬季の中央場所ではダート戦が中心に行われており、芝のレースが多くなる春まで待つ馬もあり、この場合も待機馬といっていいだろう。

体高(たいこう)
管囲、胸囲とともに馬の大きさを測るひとつの基準となるもの。馬の背の高さのことで、厳密には、き甲の頂点と地表との垂直距離である。

対抗馬(たいこうば )
レースにおいて一番力があり中心と見られる本命馬(◎)に対抗できる馬。あるいはそのレースで2番目に強いと思われる馬を対抗馬といい、予想紙では○印で示されている。

滞在競馬(たいざいけいば)
競走当日に輸送してレースに臨むこと(輸送競馬)が多くなっているが、あらかじめ当該競馬場に入厩してレースに臨むことを滞在競馬という。追い日(通常水・木曜日)に競馬場にいる馬に当てはまる言葉で、美浦あるいは栗東のトレセンで調整し、前日に入厩(距離的に当日の輸送が不可能な競馬場での競馬)することが増えているが、この場合は滞在競馬とは言わず、“前日入厩”とか“直前入厩”と言っている。

帯同馬(たいどうば)
遠征馬(重賞レースや目標にしているレースに関西馬なら関東に、関東馬なら関西に行く)と一緒についていく馬のこと。厩舎関係者の都合で連れていく場合もあるが、ある程度勝負になる馬を連れていくことが多く、帯同馬の状態には十分注意したい。

ダク
速歩のことで、コースでの攻め馬の場合、キャンターに入る前に予備運動として1周くらいダクで回ることが多い。以前行われていた繋駕速歩馬のことを“ダク馬”と言っていた。

叩く(たたく)
競馬用語としての叩くにはふたつの意味があって、ひとつは騎手が鞭(ステッキ)で馬を叩くことで、レース中に気合を入れたり、力を出し切るための補助動作として行う行為で、「叩いても動かなかった」などと使う。また、「ステッキを入れる」というのも同じ意味である。もうひとつはレースに使うことを表し、「休み明けを叩いて馬体が絞れた」「叩きながら良くなった」というのがこれで、「ひと叩きして…」などよく使われるが、目標の前のレースとか、レース間隔が開いた時に使う言葉である。

種馬(たねうま)
種牡馬のこと。厳密にいえば種牝馬も種馬といっていいはずだが、競馬の社会では産駒に牡馬の影響力が強く出るためか、種馬といえば種牡馬だけを指す。種牝馬のことは“繁殖牝馬”とか“肌馬(はだうま)”といっている。また、種牡馬を繁殖牝馬に交配させることを“種付け(たねつけ)”という。

タメる
力を温存して抑えるという意味で使われる。「タメ逃げ」といえばペースを上げずに後続馬との距離を考えながら自分のペースを作って逃げることで、スパートの瞬間まで力を蓄えるということである。追い込みの場合でも「道中脚をタメて…」などよく使われ、追い出すまで力を温存するということで意味は同じ。

単穴(たんあな)
予想評価のひとつで▲印で表されるもの。単勝の穴馬という意味なので、本来は勝つ力を持っているが、条件(ペース、展開)が嵌まらないと惨敗もある、といった馬につけられるべき印である。しかし、実際には本命馬、対抗馬に次ぐ3番手の馬という感覚でつけられることが多く、▲印と単穴という意味が一致しないこともあり、上位を争う1頭と見る方がいいだろう。

単騎(たんき)
「単騎で行けたので…」などと使われるように、他馬に並ばれたり、競り込まれたりせずに1頭でレースが運べること。逃げ馬によく使われる言葉だが、“単騎追走”などと使われることもあるように、1頭で行ける場合は逃げ馬に限らず単騎といっている。

単勝式(たんしょうしき)
一般に“単勝”といっているが、1着馬を当てる馬券(勝馬投票券)のこと。大昔は馬券といえば単勝と複勝だけだったが、連勝式ができてからは配当面で魅力がなく、売り上げも極端に少ない時代があった。

単走(たんそう)
1頭で走ること。調教で2頭以上が並んで走ることを併せ馬(あわせうま)とか併走(へいそう)というが、気性の素直な馬など併せ馬をすると走り過ぎてオーバーワークとなってしまう。そのため1頭(単走)で追い切り、仕上げていく馬も多い。また、現在は1頭での競馬はないが、昔は登録馬が1頭のときは単走したこともあった。

ダークホース
人気のない馬のことだが、本来は能力のよく分からない馬という意味から出ている。人気馬を負かす可能性のある馬のことで、穴馬とほとんど同じ意味合いで使われている。一般社会でも不気味な実力を持つ相手という意味で使われる。

ダートコース
芝コースを主体に行われていた日本の競馬だが、その芝コースを保護するために造られたコースで、表面は砂である。アメリカのダートコースの構造を参考資料として造られたもので、昭和36年(1961年)2回東京戦からダートコースの競馬が行われるようになった。その後、順次各競馬場にダートコースが造られ、中央場所の中山、京都、阪神はもちろんのこと、砂コースだった札幌もダートコースに変わり、他のローカル競馬場の全てにも造られている。従来の砂コースとの違いはそのクッションの良さにあり、砂の敷き方(砂の種類、厚さ、粒子の大きさ)が異なっている。また、ダートコースで好成績を上げる馬を“ダート馬”というが、スピードよりパワーの勝った馬で、馬格や血統に負うところが大きいようだ。

ダービー
1780年イギリスの第12代ダービー卿がはじめた競走で、3歳牡、牝による混合レースである。日本ダービーもこれにならって作られたもので、昭和7年(1932年)に第1回が行われた。日本ダービーの正式名称は『東京優駿競走』という。地方競馬も各地区でダービーというレースは行われ、中でも南関東の「東京ダービー」は有名だ。また、競馬以外でも「〇〇ダービー」と第一人者を選ぶときに広く使われるようになっている。

父内国産馬(ちちないこくさんば)
サラブレッド系の馬の父が内国産馬(日本で生まれた馬)である馬をいう。かつては、外国から種牡馬が数多く輸入されるようになり、内国産種牡馬を奨励する意味もあって、番組面でも優遇されていたが、現在は父内国産馬限定戦や、父内国産馬奨励賞などの優遇制度はなくなった。本紙各馬の能力表の父馬名の前にマル父印のあるのが父内国産馬。

地方競馬(ちほうけいば)
日本では日本中央競馬会(JRA)が施行する競馬と地方競馬全国協会(NAR)の施行する競馬があり、前者を中央競馬というのに対し後者を地方競馬といっている。地方競馬は全国各地区に分かれており、北海道、東北、南関東、東海地区などは以前から中央競馬と密接な関係にあるが、’96年(平成8年)からは中央競馬と各地区の地方競馬との交流競走が盛んに行われるようになっている。

着外(ちゃくがい)
本来は本賞金の与えられる5着までを着といい、6着以下が着外ということになる。ただ、馬券(複勝を含む)の対象となる3着までを着とする考え方が普通で、4着以下を着外ということが多い。本紙も成績欄では1〜3着までと着外(4着以下)の回数を項目ごとに表示している。

着差(ちゃくさ)
先に決勝線(ゴール)に到達した馬の鼻先(鼻端で、脚や騎手のステッキなどではない)から次の馬の鼻先までの間隔を着差という。競馬の着差の表し方は独特で、ハナ、アタマ、クビ、以下馬身で表し1/2、3/4、1、1 1/4、1 1/2、1 3/4、2…というように表示され、10馬身より大きな差は大差とされる。着差を走破タイムの差で表すこともあるが、0.2秒で1馬身、1秒で6馬身とされている。

着順(ちゃくじゅん)
ゴールへの到達順位のこと。順位を決める基準は各馬の鼻先(鼻端)と決められており、脚などが先に出ていても順位には関係ない。降着や失格になった馬がいた場合は着順が繰り上がったり入れ替わったりするが、これを“着順変更”という。

着狙い(ちゃくねらい)
着拾いともいうが、精一杯頑張っても勝てそうにないレースで本賞金(5着)の出ている上位の着順を狙って走らせること。また、登録馬の少ないレースを選んで着賞金を目的に走らせること。いずれも勝つことを前提とする競馬において、消極的にレースに参加している馬、あるいは乗り方のことを指す。

中穴(ちゅうあな)
人気馬同士で決まらないレースを穴レースといい、万馬券のような高配当になると大穴(おおあな)というのに対し、中ぐらいの穴という意味で、馬番連勝式で配当が2000円以上ぐらいの荒れ方をしたレースをいう。大穴だと狙えない馬の絡みになることが多いが、同じ穴レースでも狙いやすい馬との絡みで好配当が得られるので、中穴を狙うファンは多い。

中央場所(ちゅうおうばしょ)
中央競馬の行われる10場のうち、東京、中山、京都、阪神の4大競馬場のことを中央とか中央場所といっている。これに対し、札幌、函館、福島、新潟、中京、小倉を地方場所、あるいはローカルなどと呼んでいる。しかし、中京はG1レースの高松宮記念が行われ、中央場所と変わりない扱いになってきている。

中間(ちゅうかん)
競走馬において、前回の出走日からレース当日までのこと。「中間軽目」とか「この中間熱発があって」など厩舎関係者の間ではよく使われる言葉である。

抽せん馬(ちゅうせんば)
JRA育成馬を参照。

調教(ちょうきょう)
広い意味では他の動物と同じで人に馴らし、訓練することだが、競走馬の場合は“攻め馬”のことを指し、レースで全能力を出し切れるように仕上げることを含んでいる。攻め馬の項参照。

調教駆け(ちょうきょうがけ)
「攻め駆け」ともいわれるが、調教で速いタイムで走る、あるいは手応え良く併走馬をアオるなど攻め馬で走る馬のこと。“気のいい馬”といわれるタイプで牝馬に多い。反対に攻め馬で走らないタイプの馬を「調教駆けしない」というが、これには2つのタイプがあり、ひとつはズブい馬、もうひとつは利口な馬で実戦と調教を区別しており、調教では馬自身がセーブして走り速いタイムを出さない馬。オープン級の大物に時々こういった馬がいる。

調教師(ちょうきょうし)
厩舎の責任者のこと。馬の調教管理(馬を仕上げレースに出走させる)は勿論のこと、所属騎手、調教助手、厩務員など関係者すべてに責任をもたされている。管理馬の本賞金の10パーセントが進上金として与えられる。以前は騎手が調教師になる習わしだったが、近年は騎手経験のない調教助手から調教師になる人も多くなっている。

調教助手(ちょうきょうじょしゅ)
調教師が従業員の中から馬の調教を補助するため、中央競馬会理事長の承認を受けて、馬の調教を代行させる者をいう。競走馬の調教が主な業務ではあるが、厩舎業務の多様化に伴い、調教師の管理代理業務に携わる者もいる。

調教審査(ちょうきょうしんさ)
初めて競馬に出走する馬は調教状況の審査を受けなければ出走することができない。これを調教審査というが、平地競走では発走試験(ゲート枠入り及び発走状況)、障害競走では障害試験(飛越の巧拙と走破タイム)に合格しなければならない。またレースを使われている馬でも、枠入り不良、枠内騒攪、立ち遅れなどや、平地で大きくふくれたり逸走した場合、斜行(斜飛)する悪癖馬、規定時間内に入線できなかった馬などは調教不十分で再審査される。このことを調教再審査という。

調整(ちょうせい)ルーム
各競馬場、美浦、栗東のトレーニングセンターに設けられた騎手の宿泊所。競馬の公正を確保するためと心身の調整を図ることを目的とし、騎手を外部との接触から引き離し、開催日の前日に騎乗予定者の全員が入室することになっている。各自の個室のほか減量用の浴室(サウナ)、娯楽設備などもある。

チークピース
ブリンカーと同様に横や後方の視界を遮るための装具。競走中に物見をしたり気を抜いたりする馬に使用するもので、頭絡の頬の部分に装着する。通常は左右の2カ所に着用するケースが多く、その場合には複数形でチークピーシズと呼ばれる。

追突(ついとつ)
馬が走るとき、後肢の踏み込みが大きいか、前肢の地面の蹴り方が低いために、前蹄の蹄鉄を後蹄で踏みかけたり、突き当たったりすることを“追突”という。馬同士がぶつかることではない。

使い減り(つかいべり)
レース間隔を開けずに、中1週や連闘で連続的に使ったときに調子を落とすことで、馬体重が一戦毎に減少することから使われるようになった言葉。また1度使うと消耗が激しく続けて使えない状態で、レース間隔を開けなければならないような馬の場合にも「使い減りして…」などと使う。細身の牝馬などにはこのタイプの馬が多い。逆に間隔を詰めて連続して使える馬のことを“使い減りしない馬”と言っている。

ツキアゲ
蹄球炎の俗称で、蹄球部の挫傷による炎症のこと。競走馬には裂蹄を合併するものが多い。

つつまれる
レース中に前後左右に他の馬がいて出て行くことも退くこともできないこと。「馬群に入って出られない」とか「ポケットに入って…」などというのがつつまれる状態である。馬数の多いレースでは実力のある馬でもこのような展開になることがあり、力を余して負けるというケースもままある。

繋(つなぎ)
蹄の上部と球節の間の部位で、獣医学上の第一指(趾)骨で構成され、第二、第三指(趾)骨は蹄の中にある。繋は馬体の重さ400〜500キロもある重量を受けて、これを和らげる重要な部位である。疾走するとクモズレを起こすこともあるほど沈下することからもいかに大切なところかが分かる。

強目(つよめ)
攻め馬やレースにおける脚いろを表す言葉で、仕掛け気味にきているが一杯でなく、まだ追えば時計が詰まる、そんな状態を指す。以前は軽いキャンターより強く、15−15より軽いものをいい、厩舎関係者の間では今でもこういう意味で使っている人もいる。

ツル頸(くび)
パドックで歩いているときなどに頸を鶴のように曲げている状態をいう。神経を高ぶらせている馬によく見かけるが、一見、気合に満ちあふれ、いかにも走りそうな印象を与えるが、馬の気性の現れで、競走能力とは関係ない。

蹄叉腐爛(ていさふらん)
蹄叉の角質が腐って、その中溝や測溝に悪臭のある汚物、汚汁のあるものをいう。この病気がひどくなると跛行したり他の蹄病の誘因となる。原因は厩舎や放牧場の不潔、蹄の手入れ不足などであり、注意していれば予防できる病気。

蹄鉄(ていてつ)
馬の蹄(蹄負面)に打ち付ける金属で作製したものをいい、かつては、調教用と競走用とに区分され、調教時には鉄および軽合金材から造られた蹄鉄を使用し、競走時には、競走ニウム蹄鉄といわれる競走専用蹄鉄に打替(交換)されていたが、打替を頻繁に行うと蹄が傷むなどの不利があった。そこで、調教時および競走時の両方に使用できる兼用蹄鉄が開発された。これは、アルミニウム合金材から造られ競走前後の打替を必要としない。現在ではほぼ100%の競走馬が使用している。蹄鉄をつけたり、取り替えたりする人のことを装蹄師と言う。

蹄葉炎(ていようえん)
肢に故障を発症し動けない状態で、他の肢で長時間負重し続けると蹄の内部の血液循環が阻害され、蹄の内部に炎症を起こし激しい疼痛を伴う病気。馬は奇蹄類(蹄が一つ)であるため病勢の進行を止めることは難しく、予後不良になるケースも多い。

DDSP(軟口蓋の背方変位)
喉頭口前方にある軟口蓋が喉頭口付近に変位することにより、呼吸を阻害する病気。呼吸時に軟口蓋が揺れることにより「ゼロゼロ」や「ゴロゴロ」などの異常音を発することが多く、喉頭片麻痺(一般的にいわれる喘鳴症)と同様に、呼吸困難などの症状を引き起こす。幼少時に発病することが多いが、ほとんどの場合、成長とともに治まるのが喉頭片麻痺と大きく異なるところ。舌を括ったり、コーネルカラー(レースでは使用不可)という馬具を装着することにより、呼吸困難などの症状は抑制できるケースがある。

定量(ていりょう)
「別定重量」の項を参照。

手がわり
レースにおいて、それまで乗っていた騎手から他の騎手に替わることで、乗り替わりともいう。本紙では乗り替わり騎手は一目でわかるように騎手名を太字で表記している。また、担当厩務員が替わることを指すこともある。

テキ
競馬の社会だけで使われている用語で、騎手や厩務員などが自分の厩舎の調教師のことをいう言葉。昔は騎手が調教師を兼ねていたため、騎手(キテ)の逆さ言葉からできたといわれている。今でも「うちのテキが……」などとさかんに使われている。

デキ
馬の仕上がり具合のことで「デキている」「まだデキてない」「いいデキだ」などと使われるように外見的な馬の造りで、仕上がっているかどうかを表す言葉。また、「以前のデキにない」などと馬の状態そのものを表すこともある。

出ッパ
発馬のことで「出ッパが悪い」といえばゲートの出の遅い馬や、二の脚のつかない馬のことで、逆に素早く飛び出す馬を「出ッパがいい」という。

鉄砲(てっぽう)
鉄砲使いともいうが、長い間故障などで休養していた馬を出走させること。休養明けの出走にもかかわらず好成績を上げる馬を“鉄砲が利く”という。休養明けの馬の仕上げが特にうまく、こうした使い方で成績を上げる厩舎(調教師)を「鉄砲使いがうまい先生」などという。また、鉄砲の利く馬を“ポン駆けする”ともいうし、鉄砲使いのことを“ポン使い”ということもある。

手の内に入れる
騎手がその馬に乗り慣れて、馬の性格や脚質を熟知し、自由自在に御すことができるようになることをいう。手の内に入れた馬を“お手馬”といい、「お手馬手綱いらず」という言葉もある。

手前(てまえ)
馬が走る場合、左右どちらの脚を前に出して走るか、左脚を前にするとき「左手前」といい、逆に右脚を前に出すのが「右手前」である。先天的に右利き、左利きという馬もいるが、普通競走馬はどちらを前にしても走れるし、コーナーでは手前を替える馬が多い。不器用な馬や、四肢のいずれかに故障を持っている馬など手前を替えられず、コーナーを回るときにスムーズさを欠くこともある。

出(で)ムチ
スタート直後からムチを使うことで、「出ムチをくれる」という使い方をする。ダッシュの鈍い馬や、どうしても逃げたいときなどに気合をつけるために行う。

出目(でめ)
連勝式馬券における組み合わせの番号(数字)のことを“目”といっており、どんな目が出るかを出目という。枠番連勝なら1−1から8−8までだし、馬番連勝だと1−2から17−18までの数字ということになる。今日はどの目がよく出ているなど出目で馬券を買うファンもいる。

テレビ馬
クラシックレースなどの大レースで明らかに力不足と思われる馬でも、出走した以上はテレビに映ろうということで強引に前に出て戦う馬のこと。普段はハナを切ることなどない馬でも前半飛ばすだけ飛ばしてハナに立ったりする。ただ、最近はほとんど見かけなくなっている。

テン
「テンが速い」とか、「テンから追う」というように、よく使われる競馬用語で、最初という意味合いを持つ。使い方はいろいろあって、テン乗りといえば初めてその馬に乗ることだし、テンの3ハロンといえばスタートから最初の3ハロンのことである。

展開(てんかい)
レースの流れ(ペース、出走馬の馬順)のことで、メンバーを見てこのレースは速くなる(遅くなる)とか、どの馬が逃げるなど分かるようになると勝ち馬の推理もしやすくなるし、楽しみも多くなる。本紙では特別レース(メインレースは展開図入り)はもちろんのこと、一般レースにおいても予想馬順とペース(S=スロー、M=ミドル、H=ハイ)を記し、展開を読む一助としている。

天神乗り(てんじんのり)
騎手の騎乗フォームのひとつで、鐙(あぶみ)を長くして上体をまっすぐ伸ばし、馬の背に垂直にまたがった乗り方である。モンキー乗りと対比して呼ばれることの多い乗り方で、騎手の体重が馬の背中に直接かかるので、馬の負担が大きくスピードが出にくいといわれ、現在は中央、地方を問わずほとんどの騎手がモンキー乗りで、天神乗りは見かけなくなった。天神乗りの長所は騎手の重心が安定しているため、馬を追うときの補助動作(ステッキを入れたり、手綱をしごいたりすること)がしやすいことである。

伝貧(でんぴん)
馬伝染性貧血の略語。この病気はウィルスによって起こる馬特有の法定伝染病である。症状は40度前後の高熱が出て、2〜4日後には平熱に戻るが、また高熱が出るという状態を繰り返す。感染した馬は次第に貧血し衰弱していく。感染が判明すると法の定めにより安楽死の処置がとられる。日本中央競馬会では年2回全在厩馬を対象に検査(定期検査)を行い、また施設外から入厩する馬に対してはその都度検査(入厩検疫)を実施し、予防に当たっている。

当歳馬(とうさいば)
その年に生まれた馬で、とねっことも言われる。馬の年齢は数え年であったが、2001年1月から、外国の表示に歩調を合わせて、満年齢表記に変更された。競走馬としてレースに出走するためには、平地競走では、出生の日から起算して2年、障害競走においては3年以上経っていなければならない。

当日輸送(とうじつゆそう)
競馬開催日に出走馬を競馬場に輸送することで、関東なら美浦から東京、中山へ、また関西なら栗東から阪神、京都、中京へ当日輸送が行われている。ただ、美浦から東京への輸送は距離があり時間もかかることから、前もって競馬場への入厩も認められているが、使用頻度は極めて低い。

同着(どうちゃく)
2頭以上の馬が同時に決勝線に到着し、決勝写真をキャビネ判まで引き伸ばしても判定ができない場合に同着となる。同着の時の賞金は、例えば1着が2頭同着の場合1、2着の賞金の合計を折半する。また、賞状や賞品は同じ物を双方に渡すことになっている。連複馬券では1着同着の場合は関係ないが、単勝は両馬とも的中となる。2着が同着なら連複馬券も2通りが的中となる。これはあくまで2頭が同着の時のことで、3頭以上が同着ということもあり得る。

頭絡(とうらく)
細い革でできた馬具で、馬の頭から、頬、顎にわたっており、ハミを吊って馬の口の中に入れ、適当な位置を保たせるために使用するもので、馬を扱う場合の補助の役目もする。また、ハミをつけないものを端綱(はづな)という。厩舎関係者の間では頭絡のことを“天井(てんじょう)”と呼んでいる。

特払い(とくばらい)
特別払い戻しのこと。競走は成立したが、たまたま的中券が1票も売れていないとき、その賭式のすべての勝馬投票券に100円につき70円の特別払い戻しをすることになっている。中央では昭和46年の福島競馬以来行われていないが、3連単の導入で特配が行われる可能性は高くなっており、地方競馬では既に何度か行われている。

特別登録(とくべつとうろく)
中央競馬の特別レースに出馬投票をする馬が必要な登録のことである。通常2回の特別登録が必要となるが、日本ダービー等のいわゆるクラシック競走においては3回の特別登録が必要となり、第1回の特別登録は前年の10月に、第2回は当年の1月に締め切られる。なお、クラシック競走の場合、第1回・第2回の特別登録をしていなくても、追加登録料を払うことで登録をすることが可能である。また、クラシックを除くG1競走は2週間前に第1回の特別登録が行われ、通常の特別レース(重賞を含む)は1週間前に特別登録が行われている。また、競走に出走するための最終的な申し込みのことを出馬投票(しゅつばとうひょう)といい、通常は競走の当該週の木曜日午後3時に締め切られる。

特別(とくべつ)レース
〇〇特別、〇〇ステークス、〇〇賞などレースに名前が付けられている競走はすべて特別レースで、一般条件レースと異なり、特別登録を必要とする競走である。また、G1〜G3など格付けされている重賞レースも特別レースに含まれる。

栃栗毛(とちくりげ)
栗毛の中で被毛がやや黒みがかった馬で、こげ茶色といった感じの毛色の馬。たてがみ、尾などの長毛は被毛と同色かその色を帯びた白色である。

トモ
馬体を大きく3つに分けて前躯、中躯、後躯と呼ぶが、その一番後方の後躯のこと。その中には尻、尾、股(もも)、後肢が入っているが、後肢そのものを指すことが多い。“トモ”は競走馬のエンジンの役割を果たすところで、いい馬とは逞しく伸びやかな後肢(トモ)をもっている。

トライアル
トライアルレースともいい、5大クラシック(皐月賞、ダービー、菊花賞、桜花賞、オークス)及び秋華賞、NHKマイルカップの前に行われるレースで、競走名とともに「○○トライアル」と記されているレースのこと。このトライアル競走の上位馬(競走ごとに定められた着順の馬には優先的にそのレースに出走する権利が与えられている。

トラックマン
競馬専門紙の取材記者のこと。レースの予想、記事を書くために朝早くから馬の調教を観察し、攻め馬時計を採ったり、また厩舎を歩いて出走予定馬の状態を取材したりする。

トレーニングセンター
一般に「トレセン」といわれ、競走馬を1カ所に集めて合理的に調教する場所で、競走馬と厩舎関係者の一大団地ともいえる。昭和44年に滋賀県栗東町(当時。現在は市)にはじめてトレーニングセンターが完成し関西馬が集結した。その後昭和53年に茨城県美浦村に関東馬が集まるトレーニングセンターが完成、中央競馬の馬はこの二つのトレセンに集結している。また、現在は地方競馬にもいくつかのトレーニングセンターもできているし、「トレセン」と呼ばれる本格的な調教(仕上げに必要な攻め馬)施設を持つ民間の育成牧場も多くなっている。

トータリゼーター
勝馬投票券売上高表示機のこと。現在設置されているトータリゼーターは勝馬投票発売機と電子計算機、それに概算払い戻し表示機を直結したもので、トータリゼーターシステムと呼んでいる。大型コンピューターで一括処理を行うことにより勝馬投票が刻々オッズ(概算配当率)となって表示される仕組みになっている。

内向(ないこう)
馬がまっすぐ立っている状態を正肢勢といい、足先が内を向いているものを内向肢勢という。これを一般に「内向」と呼んでいる。逆に足先が外に向いているものを「外向」と言っている。

内国産馬(ないこくさんば)
日本国内で生まれた馬ということ。日本で生まれても外国で種付けされたものは持ち込み馬(外国産馬と同じ扱いの時期もあった)というが、昭和59年からは内国産馬の扱いをうけることとなった。また、種付けのため外国に一時的に輸出された牝馬(ジャパン・スタッドブック・インターナショナルの繁殖登録を受けているもの)が輸出される前に日本で種付けして受胎している場合に、外国で生まれた子供を当歳の12月31日までに輸入した際には内国産馬となる。なお、マル混レース以外には外国産馬は出走できないことになっている。

ナイラ
腺疫といわれる伝染病で、若馬がかかりやすく、ほとんどすべての馬がかかるといってよいくらいの病気。病原は腺疫菌という化膿菌で、リンパ腺を化膿させることが特徴となっている。冬季から初春頃に多発する病気で、軽いものは1〜2週間で治るが、悪性のものになると種々の病気を併発して死に至ることもある。馬の風邪といわれている病気で、抗生物質の投与などで治療されるため軽くすむことが多い。

流し買い
ある1頭の馬、あるいは枠を中心に、そこから他の馬(枠)に馬券を買う方法で、例えば1番の馬からなら1−2、1−3、1−4……という買い方をいう。また中心にした馬(枠)から全部の馬(枠)に流し買いをするとき、“総流し”といっている。

夏負け(なつまけ)
馬は暑さに弱い動物で、そのため気温の上がる夏に起こる一種の病気である。症状は顔面とくに眼の周囲、鼻梁側の部分の毛がはげて、つやつやと光って汗が出なくなり、少し運動をすると呼吸を弾ませるため軽い運動しかできなくなる。牡馬の場合ひどい時には睾丸が大きくふくれあがる。治療として決定的に有効な方法はなく、休養させて涼しくなるまで待つことが必要とされている。

鉛(なまり)
負担重量調整のために使用する鉛板のこと。鉛板は100グラムから500グラムまで5種類あり、100グラムを一分(いちぶ)と呼んでいる。通常、鉛鞍と呼ばれる鉛を入れる仕様の鞍に、鉛板を入れて負担重量を調整している。まれに胴巻に入れて自己の胴に固定する騎手もいる。競馬場には鉛以外に500グラム単位で負担重量調整用のゴムパッドを準備しており、これを使用して負担重量を調整する騎手もいる。

常歩(なみあし)
普通に歩いている時の歩様。パドック(下見所)でぐるぐる回るときや、パドックから馬場に出るときまでの、あのぽっくりぽっくりという感じの緩やかな歩き方である。

逃げ馬(にげうま)
スタートダッシュが良く、逃げて勝負をする馬。逃げて勝つことを“逃げ切り”といい、逃げて渋太く踏ん張ることを“逃げ粘る”という。周囲を気にする馬がハナを切ると力を出せるようになることはよくあり、前走で揉まれてサッパリで人気を落とした馬が、ハナを切って一変することがある。

二走ボケ
休み明け(故障や休養などでレースを遠ざかっている馬がレースに出ること)で好走した馬が、次のレースで凡走すること。久々のレースを叩いたことで良化してくるはずなのに成績が上がらないことをいい、気のいい馬などは緒戦から目一杯走ってしまい、目に見えない疲労が残っていたりするためと思われる。使った後の攻め馬もいいし、気合も乗っていたのにということが多く、その敗因がハッキリしないことから“二走ボケ”の言葉が生まれた。

二人曳き(ににんびき)
下見所(パドック)で馬を曳く時、一人で曳いていることが多いが、二人で曳いている馬のことをいう。気性の激しい馬やイレ込みのキツい馬など馬が暴れたりしないように左右について二人で曳く。また気合の乗っている時なども用心のため二人で曳くこともあり、二人曳きは気性の荒い馬とは決めつけられない。

二の脚(にのあし)
一旦、一杯になった脚勢から追われているうちにもう一度伸び脚を見せることがある。これを「二の脚を使う」という。またスタート直後に追われて一気に行くことも「二の脚が速い」とか「二の脚を使って」という言葉で表される。

入着馬(にゅうちゃくば)
本賞金といわれている5着までの賞金を獲得する馬のこと。しかし、成績の上では1〜3着までを入着と見なし、4着以下は着外という扱いをしていることが多い。本誌成績欄も4着以下は着外としている。

ニューポリトラック馬場
電線被覆材、ポリエステル不織布、ポリウレタン繊維、硅砂、ワックス等を混合してあり、排水性に優れ、降雨による馬場の悪化や走行時のキックバックが少ない。またクッション性にも優れ、グリップ力もあるために滑りにくい、均一性の高い安定した馬場である。凍結抵抗性が高いので、冬季は不凍剤散布の必要がなく、粘着性も強く、散水作業も不要。乾燥時でも埃が少ないというメリットもある。「オールウェザー」、「全天候馬場」とも呼ばれている。

庭先取り引き(にわさきとりひき)
馬の取り引きは“セリ取り引き”と“庭先取り引き”に大別されるが、セリ取り引きは公開のセリ市場で売買されるため、購買価格が第三者にもはっきり分かるようになっている。対する庭先取り引きは、個人的交渉で価格を決めて取り引きするため、第三者にはその内容が分からないことが多い。

主取り(ぬしとり)
セリ取り引きにおいて出場した馬に買い手がつかなかったり、また価格が生産者(売り主)の希望に満たないとき、生産者が値段をつけて引き取っていくことをいう。

年度代表馬(ねんどだいひょうば)
当該年度の中央競馬を代表する競走馬のこと。報道関係者の投票結果に基づき、新聞・放送・競馬専門紙の代表者で構成される「JRA賞受賞馬選考委員会」において審議のうえ、JRA賞競走馬各部門賞(最優秀2歳牡馬,最優秀2歳牝馬,最優秀3歳牡馬,最優秀3歳牝馬,最優秀4歳以上牡馬,最優秀4歳以上牝馬,最優秀短距離馬,最優秀ダートホース,最優秀障害馬)の中から選出され、翌年1月に行われるJRA賞授賞式において表彰される。なお、1986年までは月刊誌「優駿」の主催で行われ、1987年以降はJRAの主催で行っている。

能力検定(のうりょくけんてい)
中央競馬では行われていないが、地方競馬ではデビュー前や一定の期間競走を離れていた馬、他地区からの転入馬などに対し、能力検定(試験)が行われている。決められた距離をゲートから走らせ決められたタイム内で走破できない馬はレースには出られない。

ノミ屋
私設馬券屋のこと。競馬法では勝ち馬投票類似の行為を業として、勝ち馬投票券の購入の委託を受け、または財産上の利益を図る目的をもって、不特定者から勝ち馬投票券購入の委託を受けた違反者は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられる。ファンもこれを利用した者は罰せられるので注意したい。

ノド鳴り
喘鳴症(ぜんめいしょう)の項参照。

乗り運動(のりうんどう)
馬のトレーニングには追い運動といわれる調教(馬場や坂路などで走らせる)、乗り運動、曳き運動などに分けられる。乗り運動は調教の前や午後に全休日(月曜)を除く毎日、健康な馬なら行っている。筋肉をほぐすことで調教への予備運動になるし、また歩様をチェックすることで馬の健康状態なども分かることが多く大事な運動である。乗り運動は1回30分〜1時間ぐらいトレセン内の馬道や角馬場などで行われている。

乗り込む(のりこむ)
「中間順調に乗り込んで……」などと使われるように調教を十分に積むことをいう。丹念に調教課程をこなし(急仕上げにならないように)、仕上げていくことを指す場合が多く、休み明けや初出走の馬の状態を判断するとき、乗り込んでいるかどうかがポイントとなる。また“長目を乗り込む”という言葉もあるが、これは調教においてキャンターを長目に踏む(距離を長く乗る)ことをいい、実戦に行って息が保つように鍛えることである。

乗り役(のりやく)
「作戦は乗り役さんに任せます」などと使われるように騎手のこと。“やね”ともいう。騎手が替わることを一般に“乗り替わり”というが、“手替わり”“やねが替わる”ともいう。またその馬に初めて騎乗することを“テン乗り”といっている。

配当金(はいとうきん)
的中した馬券(勝馬投票券)に払い戻しされるお金のこと。単に配当ということもある。

馬格(ばかく)
馬の大きさを表す言葉で“ガサ”ともいう。「馬格がある」といえば、骨格が大きく外見大型馬ということ。また「馬格がない」といえば小柄な馬のことを指す。

馬鹿つく(ばかつく)
鞍上の意のままにならずレース中に大きく外にふくれたり、走路外に逸走したり、急激に止まったりすることをいう。また、こういう行為を頻繁にする馬のことを“馬鹿つき馬”といっている。

歯がわり
馬の歯は切歯、犬歯、臼歯からなるが牝馬には通常犬歯がない。人間と同じで乳歯が永久歯に抜け替わることを“歯がわり”というが、3歳から5歳の間に替わる。3歳春はこの歯がわりの時期になり、クラシックシーズンになると厩舎関係者の話の中に「歯がわりで……」と言われることが多い。それはカイ食いが悪くなるためで、馬によっては能力に大きく影響することもある。

拍車(はくしゃ)
馬具のひとつで、長靴のかかとに取り付けて馬の腹に刺激を与えるもの。モンキー乗りが主流の今の競馬では拍車を着けて乗ることは少なくなっているが、天神乗りの時代は拍車を着けることも多く、特にズブい馬には効き目もあった。一般用語でも刺激や力を加えて仕事の進行を促進させることを「拍車をかける」というが、競馬の社会でもここ一番の勝負のとき拍車を着けたことから、勝負態勢に入ったとき「拍車がかかった」などという言葉を使っていた。

馬券(ばけん)
勝馬投票券のこと。現在中央競馬では単勝式、複勝式、枠番連勝複式、馬番連勝複式、馬番連勝単式、三連勝複式、三連勝単式、拡大馬番連勝複式、五重勝単勝式の9種類の馬券が発売されている。地方競馬の一部ではこの他に枠番連勝単式も発売されている。

跛行(はこう)
脚の故障で歩行の釣合がとれず正しく歩けないことをいう。負重するときに疼痛を示す(支柱跛行)、挙楊時および前進時に疼痛を示す(懸垂跛行)、その両方が混在する(混合跛行)などがある。跛行の原因としては、骨、腱、関節、筋肉、神経などの異常が考えられる。原因がはっきりしない場合は、原因があると推測される部位により肩跛行、寛跛行と呼ばれることもある。

馬体重(ばたいじゅう)
馬の体重のこと。競馬の当日各馬の体重は発走の約70分前に、装鞍所において係員の前で量られ、この計量は下見所(パドック)や場内およびウインズのテレビなどで発表される。中央競馬では昭和39年から公式に発表されるようになった。現在中央競馬では2キロ単位で量られているが、公営競馬では1キロ単位で量られている。仕上がり具合を見る上でひとつの目安になるので気にする人も多いが、極端な増減がなければ気にしない方がいいようだ。

肌馬(はだうま)
繁殖用牝馬のこと。厩舎関係者の間では「この馬の肌は……」と使われることも多く、単に“肌(はだ)”というのも同じである。

バックストレッチ
向正面のこと。ホームストレッチ(スタンド前の直線)に対して使われている言葉。

発情(はつじょう)
繁殖牝馬が種付けできるときの状態で、発情は日が長くなる春先から数ヵ月の間、だいたい3週間ごとに周期的にやってくる。発情時期でないと種付けを受け付けないため、発情の有無ははじめ当て馬によって調べ、発情期にあると見れば獣医師の診断を受け、確認した上で種付けを行う。発情期間は一般に5日から6日間ぐらい続く。

発馬(はつば)
スタートのこと。厩舎関係者の間では出ッパともいう。またスタート時に馬が入る機具を「発馬機」といい、電動式で前扉が開くようにできており、出走馬がスターターの合図で一斉にスタートが切れるように考案されたものである。

バテる
力走の末、レースの終わりで力尽きていっぺんにスピードが衰える状態。オーバーペースで逃げた馬などによく見られる現象。

パドック
下見所の項参照。牧場などでは1頭の馬を囲って放牧する地域のこともパドックと呼んでいる。

パトロールビデオ
レースの模様を各コーナーにある監視塔(パトロールタワー)から撮影したもの。騎手は他馬を妨害することなく全能力を発揮して競走を行い、ゴールインしなければならないと定められており、馬の能力が発揮され、競走中インターフェア(妨害)があったかどうか、騎手の騎乗ぶりはどうかなどを監視するのが走路監視員で、彼らがいる所が監視塔である。パトロールビデオは進路妨害などがあったと思われる時に参考とされる。2017年1月14日より、全レースの全周パトロールビデオを公開している。

ハナ
「ハナを切る」とか「ハナに立つ」と使われるようにレース上での先頭という意味。また着差を表すハナは一番小さい着差で「ハナ差」とか「ハナの差」といい、写真判定になる。

鼻ねじ(はなねじ)
鼻捻棒のこと。ゲート入りの悪い馬などには鼻捻棒を使い、鼻の先をねじ上げる。このことを「鼻ねじをかける」というが、鼻は馬を抑える急所であり、たいがいの馬はこれをかけられると簡単に反抗しなくなる。ゲート入りに関しての補助手段としてはこの鼻ねじの他に耳ねじ、尾まわし(平打綱)などがある。また鼻ねじは種付けの際、牝馬をおとなしくさせるために用いることもある。

馬場先出し(ばばさきだし)
装鞍所、下見所からイレ込みが激しく、無理に抑えると暴れたり事故につながる可能性がある場合、馬番通りに隊列を組んで下見所から本馬場へは向かわず、その馬だけ先に馬場へ出すケースをいう。

馬場状態(ばばじょうたい)
馬場の状態は水分の含有量によって、『良』『稍重』『重』『不良』の4つに分けられて発表されている。芝、ダートに関わらず馬の能力発揮に重要な意味をもつもので、勝ち馬検討の上では常に注意が必要。「重が下手」という馬はけっこういるが、足先の濡れるのを嫌う馬もいれば、滑る馬場が苦手な馬もいるし、また力のいる脚抜きの悪い馬場を嫌う馬など一様ではない。雨馬場は重、不良などの状態で水が浮いている、または雨が降り続いた時の馬場。渋った馬場といえば稍重から重程度の多少湿っている馬場のこと。またパンパン馬場というのはパンパンに乾いている馬場ということで、芝では速い時計の出る良馬場のことである。

馬銜(はみ)
馬に噛ませる棒状の金具で、騎乗者はこれにつけた手綱を通して馬を御している。人と馬との意思交流の接点ともいえるもので、馬が軽く柔らかくハミとの接触を口の中に感じた状態をハミ受けがいいといっている。

馬名(ばめい)
競走馬には必ず名前がつけられ、これを馬名というが、どんな名前をつけてもよいというものではなく、次のような制限がつけられている。
-1有名な馬の名称・馬名と同じである馬名、またはこれらと紛らわしい馬名
-2父母の名称・馬名と同じである馬名、またはこれらと紛らわしい馬名
-3すでに登録を受けている馬名、登録を抹消された翌年の1月1日から4年を経過しない馬名と同じ馬名、またはこれらと紛らわしい馬名
-4奇きょうな馬名
-5明らかに営利のための宣伝広告を目的として、会社名、商品名などと同じである名称を付したと認められ、かつ競走馬の馬名としてふさわしくない馬名
-61字の馬名もしくは10字以上の馬名
一旦登録した馬名は原則として変更できないが、競馬会が開催する競馬、地方競馬および外国の競馬のいずれの競走にも出走したことのない馬については、1回に限り、馬名を変更することができる。

腹帯(はらおび)
鞍の付属具で馬の胸に回して締める帯。これがゆるむと鞍ずれの原因になるが、強く締め過ぎると能力に影響して走れなくなることもある。鞍の保定には一本の腹帯では破損した場合危険であり、鞍ずれも起こしやすいのでその防止のため鞍の上から腹帯の上にもう一本の帯を締める。これを上腹(うわばら)という。また馬の腹帯を締める場所を帯道(おびみち)といっている。

馬齢重量(ばれいじゅうりょう)
馬齢とは馬の年齢のこと。競走馬の背負う基本的な重量で競馬施行規定の72条に定められている。
平地競走では−。
2歳9月まで 54キロ、 牝馬 54キロ
2歳10〜12月 55キロ、 牝馬 54キロ
3歳9月まで 56キロ、 牝馬 54キロ
3歳10〜12月 57キロ、 牝馬 55キロ
となっている。この馬齢重量によるレースを馬齢戦(ばれいせん)といい、一般条件戦では見習騎手に減量の恩典が与えられるレースである。

ハロン
距離の単位Furlong(ファロング)から来た和製英語。本来は8分の1マイル(201.17メートル)のことだが、日本では200メートルを1ハロンとしている。200メートルの平均速度をハロンタイムといい、距離の違った競走を比較するときに利用される。またゴールから手前に200メートルごとに立てられている棒をハロン棒といい、騎乗者はこれによってゴールまでの距離が分かる。競走においても調教でも位置や速度の目安となり、ペース配分やスパートのタイミングを図る一助としている。

ばんえい競馬(ばんえいけいば)
体重1トン前後の馬に最大1トンの重い鉄ソリを曳かせ競い合うレース。直線200メートルセパレートコースで途中2つの障害(第1障害高さ約1メートル第2障害高さ約1.6メートル坂)を越えるためスピードはもとよりパワーとスタミナが要求される。第2障害までに息を入れながら、いかに速く障害を駆け上ってゴールを目指すかがカギとなる。鼻先でゴールが決まる平地競馬とは違い、鉄ソリがすべてゴール板を通過した時点でゴールとなる。北海道開拓時代の農耕馬が現代のレースへ受け継がれる、世界で唯一のばんえい競馬で、2007年度から帯広市が単独で運営している。

バンケット
坂のことだが単に傾斜のあるところという意味でなく、障害コースにおける上がり下がりの急勾配の坂のこと。中山の谷は有名だし、福島の小さな丘になっているバンケットも個性的だ。

繁殖牝馬(はんしょくひんば)
肌馬と同じ。仔馬をとるための牝馬のことで、競走馬として能力を出し切った馬、限界にきていると思われる馬、また血統が良くて早く仔馬を欲しい牝馬などは牧場に上がって繁殖牝馬となる。馬主が売却せず牧場に預けて仔馬をとることを仔分けという。

ハンデキャップ
一般にはハンデといわれているもので、ハンデキャップ競走における負担重量を指す場合が多い。ハンデ戦は優勝劣敗の競走原理には反するものだが、各馬の機会均等化をはかるもので、ゴール前横一線になるように馬の能力、状態に応じて負担重量を増減して戦う競走である。中央競馬のハンデキャップの事務は、ハンデキャップ作成委員(当該開催に3名以上)が担当し、普通は月曜日(日曜日に特別登録のある場合)にハンデが決められ発表される。また、ハンデ戦に登録できる資格として、そのレース以前の一定の期間内に1回以上出走していることが必要と定められている。これは馬の状態の判断がしやすいことと、近い成績を基準にすることで、より公正なハンデがつけられるからである。

坂路(はんろ)
調教コースのひとつで、路盤はウッドチップで上り坂になっているもの。美浦、栗東の両トレーニングセンターに設置されているが、栗東は全長1085メートル、高低差32メートル。美浦は全長1200メートル、高低差18メートルと異なっている。馬の鍛錬に効果があるということで、育成牧場などでも坂路コースを造っているところも多い。

曳き運動(ひきうんどう)
厩務員などが馬を引っぱって運動させること。乗り運動と同じように競走馬にとって欠かすことのできないトレーニングのひとつで、朝の乗り運動や調教の前後、また午後の乗り運動の前後など休みの日以外は毎日行われている。準備運動、整理運動として曳き運動は行われるが、歩様を観察することも目的の一つで、脚部不安の早期発見につながる。

引き返し(ひきかえし)
矯正馬具のひとつで、マルタンガールといわれるもの。腹帯からハミを通じ、手綱につながっている装具で、股綱ともいわれる。騎手の意志に反して暴走したり頭を上げる悪癖のある馬にその癖を出させないために使うもの。一般に頭が高いといわれる馬に用いられている。

鼻出血(びしゅっけつ)
競走馬は競走中に鼻出血をすることがあるが、その原因は学問的にはまだはっきりしないと言われている。馬は口で呼吸できないため鼻出血を発症すると呼吸が十分できなくなり競走能力を発揮できず大敗することも多い。鼻出血は習慣性になりやすいため、はじめて鼻出血した馬は1カ月、2回目の馬は2カ月、3回目以上の馬は3カ月間出走できないこととなっている。もっともゲートにぶつけたりした外傷性の鼻出血はこの限りでない。

引っかかる
騎手が抑えてもいうことをきかず突っかかるように行きたがる状態をいう。騎手と馬が折り合っていない走りっぷりで、レースでこういう状態になると能力に影響することが多い。

蹄(ひづめ)
馬の球節の下で人間の中指1本に当たり、爪のようにみえる部位をいう。昔から「蹄なければ馬なし」といわれているように、蹄は馬体を支える基礎であり、運動上もっとも大切な部分である。したがって削蹄、装蹄、また蹄の手入れの良否が、直接、間接に馬の能力に大きな影響を及ぼすものであり、厩舎関係者は裂蹄や蹄の病気にかからないよう、蹄の良好な状態を保つため注意している。蹄鉄は、この蹄の摩耗を防ぐために着けられている。

非当選馬、非抽選馬(ひとうせんば、ひちゅうせんば)
出馬投票の際に出走申し込み頭数が、出走可能頭数(フルゲート)を超過した場合、一定の資格(資格、賞金、抽選等)によって出走馬を決める。この時に抽選により出走できなかった馬を非当選馬といい、非当選馬以外の馬(賞金順・出走間隔順等の抽選以外によって出走できなかった馬)を非抽選馬という。

ヒモ
連対馬のことで、2着にくる馬、あるいは本命馬にくっついてくる馬をいう。「ヒモ探し」「ヒモに狙える」「ヒモが狂った」など2着馬という意味で使われている。

平場(ひらば)
一般競走のことで、特別レース以外の条件戦をいう。同じ条件レースでも特別レースに比べ賞金も安いし、メンバーも手薄ということで格下のレースと見られがちである。

牝系統(ひんけいとう)
母馬の血統の総称を母系、牝系、あるいは牝系統といっている。「この馬の牝系は○号族」だとか「この馬の母系には○○○○(有名種牡馬)の血が入っている」などと母馬の血筋を表すときに使われる。この牝系統を系図のようにまとめたものが“ファミリー・テーブル”で、牝系統別にまとめ、成績、生年等を付記し根幹馬までたどったもので、牝系を調べるのに大変便利な書物である。

ファミリー・ナンバー
オーストラリア人のブルース・ロウが19世紀の終わり頃、それ以前におけるイギリスのダービー、オークス、セントレジャーの勝ち馬について、その母系をイギリスの血統書の第1巻までたどり、勝ち馬を多く出した母系の順に第1番から43番までの番号をつけた。これがファミリー・ナンバーで、血統表の一番下の右端に普通かっこ内に入れ、それを示している。その後アメリカ、オーストラリア、アルゼンチンなどの大レースを勝ちながら前記の順番までのファミリーに含まれないものも出てきたので、この番号は更に追加されている。作られた当時は番号の若い者ほど優秀とされていたが、現在では若いナンバーが上級ファミリーといえないことは常識となっており、母系を整理、分類する際の索引番号として便利なため、そのまま使用されている。

付加賞(ふかしょう)
特別登録料の総額を、1着から3着の馬に対し7:2:1の割合で配分した賞金。中央競馬の特別競走は定められた登録料を徴収する、つまりステークス制になっていることで発生する賞金のことである。地方競馬にはこの制度はない。

複勝(ふくしょう)
複勝式勝馬投票券のことで、出走頭数が5頭から7頭立ての競馬では2着まで、8頭立て以上では3着までを勝ち馬として払い戻しされる馬券。配当は低くなるが的中率が高いため固定のファンもいる。なお、4頭以下のレースではこの複勝は発売されない。

服色(ふくしょく)
レースの時騎手が着用する服(勝負服)の色(模様を含む)のこと。色は規定内の13色、表示(デザイン)は輪、一文字、帯、山形(山形、ひし山形、のこぎり歯形の輪または帯)、たすき、縦じま、格子じま、元禄、ダイヤモンド、うろこ、かすり(井桁絣)、玉あられ、星ちらし、銭形ちらし等で、一般に3色以上の使用は認められていない。馬主は服色を登録して自分の服色で持ち馬を出走させている。また地方競馬においては騎手が各自服色を決めており、自分の服色の勝負服でレースに臨んでいるが、ホッカイドウ競馬の一部のレースに限り、馬主服での出走が認められている。

ふくれる
コーナーを回るときコースなりに回れず、外側に飛んでいくこと。手前を替えられないことや気性の悪さなどが原因でふくれることが多いが、距離損が大きくレース中の不利のひとつになる。

フケ
牝馬が発情することをいう。神経質な馬はフケにはいると競走能力が低下するといわれているが、かなり個体差はあるようだ。春先から夏にかけてがフケのシーズンで、普通は3週間おきに5、6日間続く。フケの期間が長かったり、冬に発情したりする場合“だらぶけ”といっている。

負担重量(ふたんじゅうりょう)
競走馬の背負う重量のことで、騎手の体重、鞍、鞍下の毛布、鉛などの装具(ヘルメット、ステッキは除く)まで含む。負担重量は馬の年齢と性別によって規定されている馬齢重量、ハンデキャップ委員がどの馬にも勝つチャンスを与えるように決めたハンデキャップ重量、馬の年齢、性、収得賞金の額、勝利度数その他競馬番組で定める条件により算出する別定重量などがある。

ぶち毛
馬の毛色の種類で、体に大きな白斑のあるものをいう。原毛色により、栗ぶち毛、鹿ぶち毛などと呼ぶ。また、白色部が有色部より多い場合はぶち栗毛、ぶち鹿毛といっている。わが国ではポニーなどに見られる毛色である。

ブックメーカー
勝ち馬投票方式にはパリミュチュエル方式とブックメーキング方式がある。パリミュチュエル方式はわが国やアメリカで行われている馬券の発売方法で、一定機関が不特定多数の客に売り、定められた比率で控除した残金を配分(払い戻し)する。一方のブックメーキング方式はイギリスの競馬などで見られるもので、ブックメーカー(公認馬券取扱業者)と客との間で決められたオッズ(賭け率)に応じて配当(払戻金)を受け取る方法。したがって、各馬のオッズはブックメーカーによって一致するとは限らないし、最新の情報などによって刻々変動することもあるが、客は買った時点のオッズによって払い戻しを受ける。ブックメーカーが営業の対象とする賭は競馬だけでなく、サッカー、テニス等スポーツはもちろん、ミスコンテストなど結果が明らかとなる社会現象まで多岐にわたる。

ふなゆすり
馬の癖のひとつ熊癖(ゆうへき)のこと。馬房の中で前肢を開き、左右交互に体重をかけ、間断なく体をゆする癖。熊がおりの中で体を左右にゆすっている状態に似ていることから、また舟をこぐ様に似ていることからこの俗称がある。前肢の腱に悪い影響を与えるおそれがあり、嫌われることも多い。

踏み込み
パドック解説などで「この馬は踏み込みが……」とよく使われる言葉で、後肢の歩幅のこと。前肢が踏んだ跡より前に後肢が着地するようなとき踏み込みが良いといわれ、調子を判断する上でのひとつの目安になっている。

冬毛(ふゆげ)
体毛の中で被毛といわれる全身に密生している短くて細い毛は、秋から冬にかけて長くなり光沢を失い春になって脱落する。これが冬毛であり、毛が脱け換わることを換毛という。馬の場合年2回の脱換が普通で、夏毛は年間を通じて適宜更新されるが、冬毛は秋から冬にかけて生え、陽春から晩春にかけて脱け換わる。被毛の脱換の遅速は健康状態と密接な関係にあり、同一の馬でも一様に脱け換わるわけでない。栄養が良く健康な馬は脱け換わりも早い。

ブリンカー
遮眼革といわれるもので、前の方しか見えないように作られた装具。競走中に物見をしたりして気を抜く馬に使用する(遮眼革の項参照)。ブリンカーを着けて出走する馬は出馬登録の際、騎手などとともに併記することになっている。本紙ではブリンカーを装着する馬には予想欄に「B」と記している。また、はじめてブリンカーを着けるときにはこの「B」の文字が太字になり、ひと目で分かるようになっている。また、ブリンカーを着けて走ったレースの成績欄では、斤量の後に「B」と記している。ブリンカーを着けたり外したりすることで成績に影響する馬も多い。

フリー騎手
通常、騎手は特定の調教師と騎乗契約(契約期間、給与、進上金など)を結んでいる。この騎乗契約を結んでいない騎手をフリー騎手という。契約騎手の場合は特定厩舎の専属騎手となりその厩舎の馬に騎乗する機会が与えられるが、その厩舎の調教騎乗要員にもなっている。フリー騎手はレースでの騎乗はもちろんのこと、調教の騎乗も個別に約束を交わし騎乗する。

フリーハンデ
競走馬の格付けのため距離、競走日時、場所など具体的な競走条件に関係なく定められたハンデキャップのこと。競走馬の能力の物差しのひとつとして一般に利用されている。英国はじめ諸外国でも採用されている制度で、現在は欧州、北米、アジア、オセアニアを対象とした「ワールドサラブレッドレースホースランキング」に発展。JRAでは毎年1月に前年度の成績に基づいたJPNランキングを発表している。本誌では評論家の山野浩一氏を中心にしたスタッフで地方馬、日本で出走した外国馬を含む全日本フリーハンデとして上半期分を7月に、年度分を1月に2歳、3歳、古馬などに分けて毎年発表している。

ブルードメアサイアー
母馬の父のこと。ブルードメアは繁殖牝馬、サイアーは種牡馬のこと。たとえば、平成21年のオークス馬ブエナビスタの母はビワハイジで、その父カーリアンがブエナビスタのブルードメアサイアーということになる。体形や性格など父からの影響が大きいのは当然だが、このブルードメアサイアーからの影響を受け継ぐこともあり、馬の資質を探る上で重要視される。

フレグモーネ
皮下結合組織の少ない部分に発した急性の化膿症である。化膿を起こす細菌は外傷したところから入ることが多いが、外傷がなくても毛孔から感染を起こすこともある。病勢のテンポはごく速く、一夜のうちに肢が腫れあがってしまうこともある。手当の時機を失すると、いろいろな病気を併発し、競走馬として走れなくなることもあり、早期発見、早期治療が肝心である。

分割(ぶんかつ)レース
競走の分割については一般事項の6の2に定められており、競走の取りやめがあり、かつ、一般競走で出馬投票の結果、その競走の条件より下級条件の馬を含めないで16頭以上の申し込み馬があった場合、1日の競走数が12を超えない範囲内で、申し込み頭数の最も多い1競走を2競走に分割して行う。ただし、同一条件の競走(特別競走を含む)が2つ以上あって、そのいずれかの競走に申し込み馬が7頭以下のときは分割はしない。また、申し込み頭数が同数である競走が2つ以上ある時はその優先順位が決められている。
この他にも申し込み馬に不適当な馬がいないかどうか獣医が診断するなど、交替騎手の取り扱い、分割の方法などが定められている。また最後の条項には競走の分割は、実施の結果を考慮して随時廃止することがある。と規定されている。

併走(へいそう)
2頭以上の馬が並んで走ること。併せ馬(あわせうま)の項参照。

平地(へいち)競走
障害競走に対して普通の競走を平地競走といっている。以前はトロッターによる繋駕速歩競走が平地競走と区別されていたが、昭和43年に廃止となっている。障害競走も色々なテコ入れで巻き返しを図られているが、今は平地競走の全盛といえる。また、平場(ひらば)というのも同じ意味に使われることもあるが、これは特別レースに対する一般条件レースをさす場合がほとんどである。

別定(べってい)重量
レースに出走する際の負担重量のひとつで、基礎重量を定めて、これに過去の収得賞金額、勝利度数または特定の競走の勝利等によって加増する方法。重賞競走、オープン特別競走に用いられている。また、馬の年齢または性により、出走馬の全馬に一定の重量を定めているものを別定重量のうち特に「定量」と呼んでいる。

返還金(へんかんきん)
勝ち馬投票券が発売された後、競走から除外された馬があった場合、その馬の単勝式、複勝式及び馬番連勝式ではその馬の組み合わせの投票券のすべてが、同額で投票者に返還金として返される。枠番連勝式でも1枠1頭の場合は馬番連勝式と同じだが、同枠に出走馬がいて、かつ同一の番号を1組とした枠(ゾロ目)が存在する場合は返還されない。このことを馬券の買い戻しともいう。

帽色(ぼうしょく)
騎手がレースの時かぶるヘルメットの色のことで、枠順が分かりやすいようにそれぞれ1枠=白、2枠=黒、3枠=赤、4枠=青、5枠=黄、6枠=緑、7枠=橙、8枠=桃と決められている。また同枠に同馬主の馬が入った場合外側の騎手は染分け帽(1枠は白と水色、他は枠の色と白の四つ割り(八つ割り)染分け)をかぶる。

法人馬主(ほうじんうまぬし)
会社組織(会員を集めているクラブなど)の馬主のことで、馬主を個人馬主と区別するときに用いられる。

放馬(ほうば)
競馬場やトレセンで騎手を振り落として逸走してしまうこと。競走当日においては返し馬のとき極度に興奮した馬が起こすことが多く、競走能力に影響することもある。

ポケット
「ポケットからの発走」などと使われるように競馬場のコーナーの奥まった場所を指す。例えば京都の2400メートルの発走地点は4コーナーのポケットからだし、東京の2000メートルは2コーナーのポケットということになる。またレース中に「ポケットに入って……」などということもあるが、これは馬込みに入って出るに出られない状況のことで、脚を余すことにつながる。多頭数のレースなどではしばしばこんなケースが起こり、力を出し切れず敗れる馬がいる。

保護帽(ほごぼう)
安全ヘルメットともいう。騎手はレースや調教のとき、また調教師、調教助手、騎手候補者など馬場調教をする者はヘルメットの使用(落馬に際して頭部の負傷を防ぐため)が義務づけられている。

歩様(ほよう)
馬の歩き方のこと。調子のいい馬は歩様がスムーズで伸びやかだが、どこかに故障や疾患を持つ馬、疲れがたまっている馬など歩様に乱れが出ることが多い。

ホライゾネット
目の周りを網状のカップで覆う装具。イレ込みを軽減するためや実戦での集中力を高めるために装着する。レースで使用する場合、ブリンカーとは違って装着についての発表はない。

ボロ
馬糞のこと。ボロの状態によって馬の健康状態をある程度チェックできる。ボロは軟らかいのは良くなく、落ちたときに3つ4つに割れるくらいの硬さがいい状態だといわれている。パドックなどでボロをする馬もいるが「ウンを落とす」といって嫌う人もいる。

本賞金(ほんしょうきん)
1着から5着までの馬主に対して、競馬会から交付される本来の賞金のこと。出走奨励金、距離別出走奨励賞、内国産馬所有奨励賞、特別レースにおける付加賞などは含まないものである。

本馬場(ほんばば)
実際に競馬の行われる馬場という意味で、芝コースをさす。ローカル競馬では現在も競馬場の本馬場での調教を行うこともあるが、中央場所の場合は関東は美浦、関西は栗東のトレセンで調教が行われ、競馬場の本馬場が開くことは少ない。美浦では南のCコースの内側、栗東ではDコースの内側が芝のコースになっている。

本番(ほんばん)
クラシックレースをはじめ天皇賞などの目標にする大レースを、前哨戦時、またレースの前などに「本番で……」という使い方をする。最近は賞金も高くなり、どのレースも目一杯のレースをする馬が多くなっているが、以前は「本番前のひと叩き」などという言葉も使われていたように前哨戦では意識的に余裕を持って馬体を造り、目標の大レースに向かった馬もいた。

本命馬(ほんめいば)
そのレースにおける優勝候補で、メンバー中一番強いと思われている馬。予想紙の上では◎印で表示されている。中央競馬では現在馬券の主流が連勝式になっているため、2着までにくる確率の高い馬に◎印が付けられることもある。

ホームストレッチ
最後の直線コースのこと。直線の長さは競馬場によって異なる。平成13年リニューアルした新潟競馬場の芝コースが659メートルと一番長く、東京競馬場が526メートル、阪神競馬場の外回りが474メートル、その他の競馬場は250メートルから400メートルぐらい。

マイラー
スプリンター(短距離馬)、ステイヤー(長距離馬)に対して中距離馬(1600メートルから2000メートルぐらいを得意としている馬)をマイラーといっている。日本の競馬は馬の成長に伴い徐々に距離が延びていく競走形態のため、マイラータイプの血筋を引く馬の活躍が目立っている。

前検量(まえけんりょう)
出走馬が負担する重量を競走の前に計量することをいう。騎手は競走の発走時刻前70分から50分までの間に検量を受けることになっている。体重や装具を調整しても所定の負担重量で騎乗できないときは、前検量の際検量委員に申し出て、かつ、裁決委員がやむを得ない事由があると認めたときは2キロを超えない範囲で重量を超過(超過重量)して騎乗することができる。

巻腹(まきばら)
「腹が巻き上がる」というのと同じで、腹部の内容が乏しく、巻き上がった感じに見える腹構えをいう。使い込まれての過労が原因で巻腹になることもあり、パドックで馬体を見るときのチェックポイントでもある。

股綱(またづな)
頭を上げる馬を低姿勢に導くために使用する補助具。形はいろいろあるが、普通は別の革紐を手綱から取って鞍に直結し、頭が上がれば突っ張るようにできている。レースに使用するときは負担重量に加算されるものである。

抹消(まっしょう)
中央競馬に登録することによって中央競馬に出走ができるが、登録を抹消すると出走ができなくなる。通常馬主からの抹消申請があったとき抹消されるが、登録馬が次のようなことに該当したときも登録を抹消される。
-1馬が死亡したとき
-2地方競馬の馬登録を受けたとき
-3馬主以外の者が所有するにいたった日から60日を経過したのに、その者が馬主登録を受けなかったとき
-4馬体を変装して出走させようとし、または出走させたとき
-5所有権移転届の届出を怠り、また虚偽の事実を届け出たとき
-6繁殖用、使役用、乗用、農耕用その他、競走以外の用途に用いられたとき

マッチレース
競馬の起源といわれる競走方法で2頭の馬がその雌雄を決するために一定の距離で争うもの。英国では16世紀ごろから貴族が自分の持ち馬に賭け、盛んにマッチレースを行ったといわれている。現在日本の競馬では登録制をとっており一対一の競走はないが、多頭数出走していても2頭だけが図抜けて強いときには「このレースはマッチレースだ」などと使われる。

未出走(みしゅっそう)
まだ出走したことのないことを未出走といっている。2歳から3歳の春までは競走番組で新馬戦という番組が組まれているため、まだ走っていない馬を未出走馬と呼ばず新馬といっている。

未勝利(みしょうり)
出走して1着になったことのないことを未勝利という。未勝利戦には未出走の馬も出走できるが、未出走の馬は新馬戦に出走することが多い。また、未勝利戦は3歳の秋口で終わる。

見せムチ
ムチは本来馬を叩くために持たれ、使われるものだが、馬によっては叩くと却って頭を上げたり、反抗したりすることもある。こうしたムチで叩かれることを嫌う馬にはムチを見せることによって走る気を起こさせる。これを見せムチといい、日本でも数多くの騎手がこの見せムチを駆使してレースを運んでいる。

道悪(みちわる)
馬場状態を表す言葉で、“重”や“不良”のことを総称して「道悪」といっているが、湿っているというよりぬかるんでいる馬場のときに道悪が使われているようだ。

身っ食い(みっくい)
馬が自分の体を噛む癖のこと。退屈やストレスが原因といわれているが、馬体に傷が残るほど激しく噛む馬もいる。

見習騎手(みならいきしゅ)
免許の通算取得期間が5年未満であって、勝利度数(初めて騎乗した日以降当該競走の出馬投票日前日までに、中央競馬の競走及び理事長が別に指定する競走に騎乗して得た1着の回数)が100回以下の騎手を「見習騎手」という。減量騎手ともいわれているが、騎手免許を取ったばかりの若い騎手は、ベテラン騎手に比べると技術的にも未熟なため同一条件で競走した場合どうしても不利になる。そこでこういう騎手に騎乗の機会を多く与え育成を図るために、見習騎手には減量制度が取られている。見習騎手が特別競走またはハンデキャップ競走以外の平地、障害競走に騎乗するときは、勝利度数が30回以下は3キロ減、31回以上50回以下は2キロ減、51回以上100回以下は1キロ減の負担重量で競馬ができるというものである。出走馬名表には3キロ減が▲、2キロ減が△、1キロ減は☆で表示される。

耳捻(みみねじ)
馬に軽い手術を施したり、ゲートに入るのを嫌ったりするときに用いる器具。短い棒の先端に丈夫な鋼で15センチくらいの直径の輪を作ったもの(耳捻棒)で、耳を入れて捻り、馬の気をそらせ、あるいは刺激を与えて馬をおとなしくさせる。これを使うと一見痛そうだが、実際は抑制神経が働き、精神状態を落ち着かせる効果がある。

無口(むくち)
無口頭絡の略称で、ハミのついてない頭絡のこと。頭絡(とうらく)の項参照。

むこうずね
主として前肢に発生するもので、管骨の前面の骨膜炎と総指伸腱の炎症の2通りあるが、これを俗に“むこうずね”といっている。“ムコウゾエ”とか、単に“ソエ”と言うのも同じことである。若馬がかかりやすく、急激な強い調教を行うとできやすい。初期のうちなら運動を軽くしたり、患部を冷却することで治癒するし、また焼烙療法で治すこともできる。休むことなく焼烙療法をしながら調教することを焼き乗りといっている。

無印(むじるし)
予想欄でなんの印もつかない馬のことで、人気のない馬のことを無印といっている。多頭数のレースになると無印の馬が多くなるが、同じ無印でも能力、状態が印のついている馬と大差ないが、印の順がまわらないため無印になっている馬と、実力、状態などがはっきり見劣るため無印になっている馬とがあるので、そのあたりを見きわめて馬券作戦を立てたい。

鞭(むち)
騎手が競走に際して手に持つものでステッキともいう。馬に気合をつけたり、全能力を出させるために使用する馬具で、これを見せたり叩いたりして、馬の走る気をうながす。通常叩くことに使われるが、見せるだけでも反応する馬も多く、見せムチでも十分効果はある。なお、2017年1月1日より、競走において騎手が使用する鞭を、パッド付き鞭に限定された。

むながい
馬の胸から鞍橋にかけわたす緒(革紐)で鞍の位置が変わらないようにするための補助具である。鞍ずれ防止と、不良体形で鞍変位をおこす危険のある馬に用いられるが、騎手の安全はむろんのこと、馬の全力疾走にとっても重要な馬具である。しりがい(尻にかけて鞍橋を固定させる緒)とともに競走馬の負担重量に加算されない。

目隠し(めかくし)
ゲート入りの悪い馬に使うもので、黒い頭巾のようなもので、これをかぶせて目が見えないようにしてゲートインをうながす。

メンコ
馬の覆面のこと。一般には耳覆いのついたものを使い、音に敏感な馬や、砂を直接被るのを嫌がる馬に用いる。

モタれる
レースや調教において、斜行することを表す言葉。コースの内側に行こうとすることを“ササる”といい、逆に外側に行こうとすることを“ふくれる”という。

持ち込み馬(もちこみば)
活馬の輸入自由化の実施日(1971年6月30日)以降に輸入された妊娠馬が日本で生んだ馬。要は外国で種付けされた内国産馬のこと。それ以前は競走番組上外国産馬に準じた扱いを受けていたため3歳クラシック競走や、天皇賞などG1レースに出走できない時期があった。

持ち(もち)タイム
持ち時計ともいうが、ある馬が一定の距離でマークした最高タイムのこと。「この距離の持ちタイムがある(ない)ので…」という使い方をされるが、速い時計を持つ馬を持ちタイムがある馬という。一応その馬のその距離における最高能力と見られるが、そのタイムを出したときの馬場状態、コース、出走回数などいろいろ異なるので、持ち時計が即その馬の能力という見方はできない。ただ、キャリアを積んだ古馬の場合には能力を探るうえでひとつの目安になるのも確かだ。

持ち乗り(もちのり)
厩務員の仕事をしながら、担当馬の調教にも携わり、攻め馬や馬場運動など調教助手の仕事を兼ねる人。

物見(ものみ)する
不意に何かの物に驚いて騒いだり、止まったり、横にとんだりする動作や癖のことをいう。レース中にハロン棒の影や芝生のはげているところをとんだりする馬もおり、これなどは物見の例だ。馬の目は弱視で物体は不明瞭に拡大されてもうろうと見えるということもあって、馬は気の弱い動物といわれ、用心深いのでちょっとした物や音に驚くためであろう。

揉まれる
「道中揉まれて……」などと使われるように、レース中、馬込みに入って思うように走れない状態を“揉まれる”といっている。気の小さい馬などは揉まれると戦意を失くすことがあり、そんな馬は“揉まれ弱い馬”といわれ多頭数の競馬では不利になるとされている。

もやし馬
育成期間に過保護になっている馬のことで、本質的な育成技術、鍛錬がなされてなく、見た目に立派でも中身がなく「みてくれ」だけ良い馬となってしまう。こういう馬を指して“もやし馬”という。また競走馬でも急仕上げで調教量の足りない馬についても、格好だけはできていても実質が伴っていないということで“もやし馬”あるいは単に“もやし”ということもある。

もらい
「斤量をもらう」「ハンデをもらう」などという形で使われる言葉。見習騎手が騎乗して規定の重量より軽い重量で出走するとき、例えば53キロの馬に▲の騎手が乗れば3キロ減の50キロで出走できる。こういうとき「3キロもらいで出られた」などという。また目標のハンデ戦の前の1、2走を無理せずハンデを軽くしてもらうことを“ハンデもらい”というが、現在1度や2度成績が下がってもハンデが軽くなることは少なく、ハンデもらいを意識してレースする馬もいないようだ。

モンキー乗り
鐙(あぶみ)を極端に短くした前傾姿勢で馬に乗る方法。木の枝に猿がまたがったように見えることからこう呼ばれる。御しにくい点はあるが、抵抗が少なく馬のスピードを出すことができるため現在は騎手のほとんどがこのモンキースタイルである。1890年代にアメリカのトッド・スローン騎手が考案したといわれる騎乗法で、日本でも大正時代からあった乗り方だが、保田隆芳氏(故人、元騎手、元調教師)が渡米したときに身につけて帰り、成績を上げたことで、それ以来、流行し一般化されるようになった。

焼く(やく)
焼烙(しょうらく)療法といわれる馬の治療法のことで、特に筋肉、骨膜、関節などの炎症で薬物療法などで治らない慢性的なものに効果がある。以前は鉄や銅でできた器具を灼熱して使用していたが、現在は電気式の器具が使われている。パドックなどで注意してみると脚に乾パンの穴のように点々とした跡がある馬がたまにいるが、これが焼いた箇所である。

安目(やすめ)を売る
発馬で出遅れること。ハッキリした出遅れでなくてもアオッたり、他馬に寄られたりして、スムーズにスタートが切れなかったときに「安目を売ってしまって……」という使い方をする。

ヤネ
騎手のこと。乗り役、鞍上とも呼ばれる。乗り役の項参照。

ヤマキズ
馬が育成時に牧場で負った傷のこと。競走馬となってからもその傷痕が残っている場合に“ヤマキズ”と呼んでいる。

稍重(ややおも)
馬場状態を表す言葉のひとつで、『良』と『重』との中間の状態を指す。馬場状態の項参照。

誘導馬(ゆうどうば)
パドックから本馬場のゴール板まで競走馬の先頭及び最後尾から各馬を誘導する馬のこと。誘導馬は競走から引退した外見の美しい馬(芦毛か栗毛が多い)が乗馬の調教を受け、務めていることが多い。

輸送競馬(ゆそうけいば)
栗東、美浦の各トレーニングセンターから競馬場へ当日(前日のこともある)輸送して競馬に出走することを“輸送競馬”といっている。これに対し、ローカルなどその競馬場で調教して使うことを“現地(滞在)競馬”という。馬運車で当日輸送する場合でもかなりの時間を要するため、神経の敏感な馬はこの間に気を遣い、馬体重が減ることがある。これを輸送減りというが、何回か輸送を経験するうちに輸送減りが少なくなる馬も多い。

ユニット馬券(ばけん)
勝ち馬投票券(馬券)の最低金額を固定し、複数の組み合わせを1枚で購入できる勝ち馬投票券のこと。中央競馬では現在はすべてこのユニット馬券になっている。

輸入種牡馬(ゆにゅうしゅぼば)
内国産(日本で生まれた)種牡馬に対し使われる言葉で、良血を求めて外国から輸入した種牡馬のこと。戦後は昭和27年から輸入が開始され、日本の競馬は輸入種牡馬によって改良された。02年8月に死亡したが、13年連続で首位を独走していたサンデーサイレンス、ブライアンズタイムなども輸入種牡馬である。

緩む
「足元に少し熱があったので休ませたら馬体が緩んだ」などというように、病気などで調教を休んだり、加減(控え目にする)して充実した馬体の調子が下がっていること。また「緩める」という場合は使い込んだり、夏負けなどで不調に陥ったときに馬に休養を与えて立て直すことをいう。体力の回復を待って一から仕上げていくので、一度緩めると出走させるまでにはかなりの日数がかかる。

予後不良(よごふりょう)
救命不能と診断され、安楽死処置となること。レース中・調教中などに馬体に故障を発症し、その回復が極めて困難と診断された場合、安楽死処置が取られる。

預託料(よたくりょう)
馬主が調教師に馬の育成、調教を委託したときの預け賃。預託料は各馬によってかかる経費も異なるし、厩舎によっても異なるので一定の値段ではない。また当歳、2歳馬を購入、厩舎に入ってくるまでの牧場での飼育、調教などを任せている間の費用についても預託料といっている。

呼馬(よびうま)
日本の競馬は“くじ馬”といわれる抽せん馬によって成立を見たわけだが、この抽せん馬に代わって登場したのが呼馬である。これは各馬主が直接購買した馬でサラブレッドの自由購買馬のことである。当然のことだが、競馬の規模が拡大するにしたがい、これの占める比重が高くなっていった。戦前は番組のうえでも抽せん馬と分けて呼馬といっていたが、現在は使われていない。

夜目(よめ)
拇指が退化したものといわれるもので、前膊部(人でいえば手首と肘の間)の内面及び飛節の内後面に付着する褐色の塊をいう。馬には必ずあるもので、学名は附蝉(ふぜん)といい蝉が木にとまっている姿に似ていることからでた言葉。その形態、表面の紋様、大きさなどが人の指紋のように馬ごとに異なっているので、個体鑑別に用いている国もある。この夜目には諸説あるが、馬は元来5指をもつ動物であって、これが進化の途上、拇指及び小指を必要としないことで失い現在では中指のみで体を支えているとされている。人さし指、薬指は管部に痕跡となって残っている。

ヨレる
馬が斜行することを表す言葉のひとつで、“ササる”“膨れる”などが気性的なもの(ハミ受けが悪くて斜行する)に使われるのに対し、“ヨレる”という場合は追われて一杯になりよろけるといった意味合いで使われることが多い。いずれにしても直線での馬の斜行をさす言葉なので“ササる”と“ヨレる”の使い分けは難しく曖昧になってきている。

楽走(らくそう)
調教やレースにおける脚いろの表し方のひとつで、馬なりよりもっと楽に走っている状態。騎乗者が補助動作(手綱をしごいたり、ムチを使うなど)をしないのはもちろんのこと、むしろ馬の走る力をセーブさせてという状態で、余力十分で馬を走らせること。実戦で楽走ということは考えられないが、調教では調子のいい馬が楽走に近い状態で好タイムをマークすることもある。

落鉄(らくてつ)
蹄鉄が外れ落ちること。自分の後肢または対側肢で踏んで落ちることが多い。完全に蹄鉄が落ちないで釘がゆるんで外れかけているときも一応落鉄といっている。装鞍所、下見所、及び発走地点にはいつも装蹄師が待機し、不意の落鉄に備えている。競走中に落鉄すると一般にはスピードが落ち、敗因になることも多く、能力に関係なく大敗することもある。

ラチ
馬場の柵のこと。馬場の内側にあるものを内ラチ、外側にあるものを外ラチと呼んでいる。馬にはいろいろな癖を持つ馬がいて、ラチを頼る馬もいるし、反対にラチを怖がる馬もいる。前者の場合は内枠に入ると有利に働くが、後者の場合は一旦外に出して競馬しなければならず、枠順が内だからといって有利とは限らないものだ。

ラップタイム
単にラップともいうが、レースや調教における1ハロン(200メートル)ごとのタイム。レースにおけるラップタイムは先頭の馬で計測されるので、逃げ切ったとき以外は勝ち馬自身のラップとは異なる。ラップはレースの遅速を表すもので展開を解析するうえで重要なもの。特に前半の3ハロンでレースの性格が決まることが多く、競馬ブックでは各馬の通過順位から前半の3ハロンを全馬について計算し、能力表に掲載、勝ち馬推理の参考資料としている。

理想体重(りそうたいじゅう)
競走馬はレース数を使っているうちに能力を出し切れるときの馬体重が決まってくる馬もあり、理想体重(この馬体重なら走る)というものができてくる。そのため関係者はその体重をメドに仕上げることになるし、ファンの側から見ればそのときが狙いになってくる。

良血馬(りょうけつば)
血統のいい馬ということで、“血統馬”ということもある。父馬である種牡馬から優秀な産駒が輩出しているとか、母馬である繁殖牝馬の競走成績がいい、あるいはその産駒(兄姉馬)が大レースを取っているなど、父母の血統がいいといわれている馬。また一般的には母系に好成績を挙げている馬が多く出ている場合も“良血”といわれている。

リーディング・ジョッキー
その年の最高勝利度数の騎手。中央競馬の場合、地域が東西に分かれているためそれぞれの最高勝利度数の騎手をリーディング・ジョッキーと呼んでいる。同じように最高勝利度数の調教師をリーディング・トレーナーというし、産駒の獲得賞金が最高の種牡馬をリーディング・サイアーといっている。

ワイド馬券
正式には、拡大馬番連勝馬券のこと。馬番で1−2着のほかに、1−3着、2−3着の組み合わせも的中となる投票方法。3着同着の場合の3着同士の組み合わせは的中にならない。

枠順(わくじゅん)
発走するゲートの順。つまり馬番のことで、これは出馬投票のあと抽せんで決められる。9頭立て以上のレースでは枠順(馬番)と連勝式の枠番が異なる馬がいる。枠順は内から順につけられており若い番号は内枠、大きな番号は外枠ということになる。

惑星(わくせい)
惑星馬ともいう。そのレースにおける主力馬ではないが、展開などによっては連に絡む可能性のある馬のこと。伏兵馬、穴馬などというのもほとんど同じ。

輪乗り(わのり)
発走前にゲートの後方に集合した馬が、枠入りの合図がかかるまで輪を描くように歩きながら待機すること。



Contents Menu



Member login

 

Site Menu

Company Menu

Official link